「夫に相談しても『せっかく親父が作ってくれたんだから気持ちを汲んであげてよ』と、私の味方にはなってくれませんでしたね」
しかも、その七段飾りは決して完成度が高いとはいえませんでした。髪はボサボサで目の大きさは左右非対称、人形ごとにサイズも微妙に違ったそう。
「正直この雛人形では娘が可哀想だし、どうしても美しい雛人形を飾ってあげたいと思ってしまったんですよね」
後日、美咲さんは勇気を出して切り出しました。
「来年はもう少しコンパクトにできたらと思うので、ガラスケースに入ったものを購入しようかと……」
すると義父は露骨に顔を曇らせ、「せっかくの手作りを邪魔もの扱いするのか」と怒り出してしまいました。
「“孫のため”と言いながらも、傷ついているのは自分のプライドのように見えました。その時に、この人は結局自分の満足のために孫を使っているんだなと気づいたんです」

義父は自作の雛人形をうっとりと眺め、「本当によくできているだろう〜」と何度も褒め言葉を促します。願っているのは孫の成長よりも、自分の作品への高評価のようでした。
悩んだ末、美咲さんは七段飾りを義実家へ返却。義父との関係はぎくしゃくしてしまいましたが、自宅にはようやく自分達で選んだ雛人形が飾られたことに満足しているそう。
「娘の笑顔を見ながら、ようやくホッとすることができました。義父の過剰な自己満足と承認欲求から逃れてやっと“家族の行事”を取り戻すことができた気がしたんですよね」と微笑む美咲さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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