
『今日、地震がおきたら』(著/アベナオミ・刊/KADOKAWA)
――アベさんが、避難所ではなく在宅避難を選んだのはなぜだったのでしょうか。
アベ:震災の翌日、夫は「まず避難所に行こう」と言っていました。自宅は無事ではあったものの、電気も水道も止まっていたので、大人2人だけなら避難所に行ってみたかもしれません。
ただ、当時1歳だった息子を連れてお出かけするだけでも大変なのに、避難所で過ごせるのかという不安がありました。何より、息子にアレルギーがあったのが大きな理由でした。
――どんなアレルギーがあったのでしょうか。
アベ:息子は当時、ハウスダストのアレルギーがひどく、毎日家中に掃除機をかけ、布団も毎日必ず掃除機、ぬいぐるみも2日に1回は洗濯しないと喘息が出てしまうので、吸入器を使わなければならない状態でした。避難所では、それぞれが自宅から毛布などを持ち込みますし、防災倉庫に保管されていた毛布がどれくらい清潔かわかりません。
また、息子はアトピーがあり、牛乳、卵、小麦粉、魚卵などの重度の食物アレルギーでした。とくに、牛乳、卵、小麦粉は飛沫だけでもアレルギーが出てしまうので、医師から家庭内に持ち込まないように言われていたんです。当時は非常食といえばクラッカーだったので、避難所でその飛沫によって息子がアナフィラキシーショックを起こす可能性がありました。「危険な状態になったとしても、救急病院で診てもらうことは難しいだろう」と思ったので、子どもの命を優先するためには自宅で過ごしたほうがいいと判断しました。
――震災後は、子どものおむつやミルクなども手に入らない状況ですよね。
アベ:子ども用品はまったく手に入らなかったです。避難所によっては、物資が潤沢にあったという話もありますが、在宅避難の私たちは、自力で調達しなければなりませんでした。我が家は、偶然にもオムツだけは直前に買い溜めしてあったのですが、周りに困っているお母さんはたくさんいました。
【アベナオミ】
宮城県出身・在住。日本デザイナー芸術学院仙台校でイラストを学ぶ。イラスト担当著書に『マンガでわかる! 妊娠出産はじめてBOOK』『子どもを叱りつける親は失格ですか?』『わたしの心と体を守る本 マンガでわかる! 性と体の大切なこと』『料理は妻の仕事ですか?』(すべてKADOKAWA)、『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』(学研プラス)など多数。東日本大震災を経験し、子育て世代の防災の大切さを伝える活動がライフワーク。2016年に防災士の資格を取得。2男1女の育児に毎日奮闘中。
<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。