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「断水時、トイレや食事はどうする?」東日本大震災で被災した漫画家に聞いた“知恵”とは<漫画>

「震災離婚」が生まれる背景

『今日、地震がおきたら』(KADOKAWA)

『今日、地震がおきたら』(著/アベナオミ・刊/KADOKAWA)

――給水所や、スーパーマーケットでも、列に並ぶのが大変だったと描かれていました。 アベ:1回給水するのに3時間は並ばなければいけませんでした。当時1歳だった息子と一緒に並ぶのは難しかったですね。 だから、当時は男性たちが頑張って水や食料を調達していたと思います。スーパーマーケットでも、3月の寒さに耐えながら前の晩から男性たちが夜通し並んでいました。そのため、開店時間になると前の晩から並んでいた人たちの分だけで売り切れてしまうことが多かったです。ベビーカーは、津波で流された車の中にあったので、1歳の子どもを連れて遠出することは厳しく、歩いて30分以上かかる町役場に物資があると聞いても、取りに行くことができませんでした。 ――被災後は、アベさんが一人でお子さんを見ていることが多かったのでしょうか。 アベ:共働きだったのですが、保育園が再開していなかったので私は出勤することができず毎日子どもと2人で家にいました。夫は、津波被害に遭った会社の復旧に毎日出かけていました。 強盗被害や治安の悪化の噂がある中で、自宅で一人、子どもを守らなくてはいけない不安は大きかったです。会社にも行けないので、このままクビになるだろうと思いました。気持ちが張り詰めた状態が長く続く中で、「なぜ、私だけ毎日家にいなければいけないんだろう」という気持ちを、夫にぶつけてしまった日がありました。夫としては、私に押し付けたつもりはなく、自然と役割分担ができていると思って頑張ってくれていたのだと思います。 小さなことですが、もし夫が出勤する前に「今日も一人にしてゴメン、息子のことをよろしくね」と言ってくれていたら、私の受け取り方も違っていたのかもしれません。 ――非日常だからこそ、お互いを気遣う言葉かけが大事なんですね。 アベ:当時は、「震災離婚」という言葉をよく聞きました。食料や電気がないなかで何とか作った食事を「まずい」と言われたり、ちょっとした出来事の積み重ねから夫婦の関係に歪みが生まれて、そのまま別れてしまうケースがあったといいます。 食料や水の調達に奔走するお父さんたちの頑張りは見えやすい一方で、子どもの世話をしながら家を守るお母さんたちのストレスは見えにくかったと思います。災害時のような「非常事態」は、心に深い傷が残りやすい時期です。「ありがとう」「ごめんね」と夫婦がお互いに敬意を持って言葉を掛け合うことが大切なのだと思います。 【アベナオミ】 宮城県出身・在住。日本デザイナー芸術学院仙台校でイラストを学ぶ。イラスト担当著書に『マンガでわかる! 妊娠出産はじめてBOOK』『子どもを叱りつける親は失格ですか?』『わたしの心と体を守る本 マンガでわかる! 性と体の大切なこと』『料理は妻の仕事ですか?』(すべてKADOKAWA)、『被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40』(学研プラス)など多数。東日本大震災を経験し、子育て世代の防災の大切さを伝える活動がライフワーク。2016年に防災士の資格を取得。2男1女の育児に毎日奮闘中。 <取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。
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