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「あなた、不器用だけど“当たり”だわ」スキマバイト先の60代ベテランパートが明かした“言葉の裏側”とは

一期一会の距離感

「あ! でも、性別や境遇、年齢を問わずいろんな人に会えるのは、それはそれですごく楽しみなのよ」と明るく語る節子。  梅子も続きます。 「この歳になって田舎にいると、大抵決まった人にしか会わないから。だからあなたに会えて、こうして愚痴まで聞いてもらえて、ちょっと嬉しいわ」  あれ? 風神が優しく微笑んでいる……? 「スキマバイトさんだからこそ、話せる愚痴もあるしね。さあ、ごはんおかわりしない? おばちゃんが注いであげる」 0421_スキマバイト④ 鋭い眼光がいつの間にか和らぎ、現場の空気も緩んできました。そして、梅子がよそってくれたごはんは、お茶碗3杯分はあろうかという“超マンガ盛り”。筆者の豊満な体格を考慮してくれたのでしょう。なんとも言えない気持ちになりながら、その大盛りごはんを米粒一粒残さずたいらげました。

スキマバイトは“人の温度”に触れる仕事だった

 その後は和やかな雰囲気の中で後片付けをし、バイト終了の時間に。しかし、ただでは終わりません。そこから梅子と節子の親戚の愚痴や、人間関係の「ちょっと聞いてよ」というトークタイムがスタートし、休憩室はまるでお悩み相談室に。 0421_スキマバイト⑤ さらに「最近のスマホの使い方が分からないから、ちょっと教えて」と、携帯電話ショップのような光景も……。正直少々ぐったりしつつも、この一期一会の濃い出会いにどこか居心地の良さを感じていました。  別れ際、「また来なさいよ」と手を振る梅子と節子。最初に感じた威圧感はすっかり消え、そこにはただのおしゃべり好きなおばちゃんたちの笑顔がありました。数時間前まで他人だったはずの人たちと、ごはんを食べ、愚痴を聞き、少しだけ同じ時間を共有する──。  スキマバイトは仕事というより、その場の空気に入り込み、人の温度に触れる体験なのかもしれません。次はどんな現場で、どんな人に出会えるのでしょうか。楽しみです。 <取材・文&イラスト/青山ゆずこ>
青山ゆずこ
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird
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