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究極の“太鼓持ちの達人”!? 個性派俳優・手塚とおる 「人は一生懸命、過剰に生きている」

「正しいほめ方」を笑って学べる新感覚ドラマ『太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~』http://www.tv-tokyo.co.jp/taikomochi/(テレビ東京)。シミュレーションオンラインゲーム上で、「太鼓持ちの達人トリオ」(手塚とおる、柄本時生、木南晴夏)が援軍となり、コミュニケーションに悩む人々に、相手の特徴を見極め、地雷を踏まない絶妙な“ほめワード”を授ける。

手塚とおる(1)

手塚とおる

 例えばターゲット、「ネガティブ女子」。【特徴1:「恋愛が絡むと極度に面倒」 特徴2:「何を言っても『でも』で返される」 特徴3:「ネガティブ中、嬉しそう」】 そして最大の特徴は、「浮き沈みが激しい」。そんなネガティブ女子をイチコロにする“ほめワード”は、「先回りして考えちゃうなんて、頭が良すぎるんですよ」「そんなに頭良すぎたら疲れちゃいますよ」「自分への評価が低すぎるんですよ」。トドメの一言は、「みんなから頼られすぎちゃうんですよね」。……なんてドストライクに刺さるフレーズ!

 その他、忙しぶる男、攻撃的ブス、中二病引きずり男子、若手成金、アグレッシブすぎる料理好きなど、「こういう人、いるわぁ~」という厄介な人たちへの絶妙な“ほめワード”の数々に、目から鱗が落ちること間違いなしだ。今夜0:28からの最終回を前に、ドラマの見どころ、正しい褒め方とはどういったものか、主演の手塚とおるさんにお話を聞いた。

――視聴者が「この人、自分だ!」と共感できるキャラクターが必ず登場しますよね。第2話の“ネガティブ女子”は、まさにわたしだと思いました。

ネガティブ女子に共感したという人、すごく多いんですよ。でもその反応は全く想像していなかったです。撮影する途中で、スタッフの人たちも「コレわたし」みたいなことを言うようになって、「あ、そういう風に見ているんだ」ということに気づいて、そこから変わりましたね。ちょうど2話くらいからシフトチェンジしました。

――ネガティブ女子からのシフトチェンジ! どのように変えたのでしょうか?

視聴者の方がそれだけご自分に近づけて見てくれるなら、もっと極端にしたほうがいいなと思ったんです。キャラクター的にもっと過剰にしたほうが、「これ、自分」という自虐もできるし、他人に対しても「あの人、こうだよね」と言いやすいだろうなと。あまりリアル過ぎても笑えないので(笑)。なので、もっと大きく演じようと思いました。

――かなりの反響でしたが、このドラマがウケた理由はどういったところだと思いますか?

HOW TOモノをドラマにするということ自体が珍しいですよね。原作(『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』)が非常に面白いです。HOW TOモノって、自分をどう変えるか、みたいな自己啓発だと思うんですけど、それってハードルが高いんですよね。この原作とドラマがすごいのは、「ダメだったらダメでいいんだよ」というスタンス。自分が変わる必要はなくて、その日をどう回避するか、地雷をいかに踏まないかが大事だというのは、HOW TOとして正しいなと思いました。

普通ドラマの展開は、登場人物が成長するとか、学習していってそこから反対の立場になるとかなんです。でもこのドラマは、例えば「やさぐれデブ」だったら、「痩せろ」じゃなくていい。そこはそこでいい。じゃあ、その人が良いところってどこなんだろう?というところを見つけていって、そこを褒めればとりあえずその人との関係性は回避できる。そこがこのドラマのすごいところだと思いますね。

――褒め方の習得をサポートする「太鼓持ちの達人」トリオ(手塚とおる、柄本時生、木南晴夏)は、ドラマを通して成長していきますよね。

ドラマの最後の数分で、オンラインゲームではなくただの日常を送っている僕たちが出てくる、という構成です。ゲームのキャラクターとはかけ離れた生活を送っている3人がどう変化していくか、というのが最終回にバッと出てきます。そこまではどう繋がっているのか全く分からずに進んでいくんですけど、最終回はそこが明らかになりますね。

――最終回では、「褒めるとはこういうことだ」といった結論が出てくるのでしょうか?

そうですね。結局、何を持って褒めるか、ということですよね。太鼓持ちって、相手を気持ちよくさせるということですが、自分の気持ちだってよく分からないじゃないですか。その中で他者と関わって、他者の考え方を理解していく、というのは本当に難しいことなんですけど。でもそれがないと、生活はできないし、社会は成立しない。じゃあ、自分が他者とどう成立していくか、というのが結構大きいことで。

相手の気持ちを理解するには何が必要なのか。ゲームだと僕らは太鼓持ちの達人なんですが、実生活では関係を上手く築けない人たち。その関係を上手く築けない人たちが、どうやって関係を修復していくかというストーリーで、最終的には、「人を褒めるためには、他者とコミットしていかなければいけない」ということが大きいテーマです。

手塚とおる(2)――手塚さんご自身は、普段“太鼓持ち”されますか?

意識的には全くしていないです。ひょっとしたらしているのかも知れないですけど。このドラマの中の、「戦略的に褒めろ」みたいなことは全くしていないです。褒めるっていうことがよく分からないんですよ。思ったことを言ったら喜ばれたり、怒らせてしまったり。思ったこというか、興味があることですね。興味がないことには本当に興味がないので(笑)。

――手塚さんはかなりネガティブ、と伺いましたが、人に対してはポジティブな印象を受けます。

人にあまり期待をしていないです。人がどうしてくれるとか、あまり思っていない。だから面白がれるのかも知れません。僕の考えていることは相手には分からないし、相手の考えていることも僕はきっと分からないんだろうな、というところから出発しているような。そのためにはどうしたら譲歩していけるか、というのが人との関係性を築いていく手段だったりしますね。このドラマの内容とシンクロするところですかね。

――ドラマのエンディングで、「今までで一番嬉しかったほめ言葉」というのが出てきますが、手塚さんが今までで一番嬉しかったほめ言葉とは?

最終回に出てくるので見ていただけたらと。でも大したことは言っていないです。そもそも、褒められている、という感覚が分からないんですよ。ほぼ、人が言っていることは本当ではないだろうと思っているので。褒められていると思ったことがないです。何が嬉しい、というのもなかなか分からない。ある意味、前向きなネガティブですね。どうせ、そんなに僕に興味ないよね、という(笑)。褒められても聞き流していることが多いです。

――褒められることで喜びを感じる、という人が一般的には多いと思うのですが、手塚さんはどんなことで喜びを感じるのでしょうか?

僕は商品なので。例えば半沢直樹のときみたいな役をやっていて、「やな奴だ」と言ってもらえると、仕事として成功したな、とは思います。悪い役をやって、「あいつイヤだった」とか、気持ち悪い役をやって、「あいつ気持ち悪かった」とか言われると、半分は成功です。一番嬉しいのは、全員の感想がバラバラだったときですね。何かの役をやったときに、泣いたという人もいれば、笑ったという人もいるし、気持ち悪かったという人もいるし、ツラかったという人もいるし、そういうのが全部バラバラなものが作れると、面白いし、嬉しいなあと思います。

――バラバラの解釈ができる役柄が多い、ということとはまた違いますよね?

キャラクターを過剰にしていく、というのと同じで、僕の中で人間がリアルだと思うのは、「過剰に一生懸命に生きている姿」なんです。過剰さが僕にとっては愛おしかったり、また悲しかったり、面白かったりするんですよね。例えば人が喫茶店でコーヒーを飲んでいて、窓の外で中年のおじさんが二回転するくらい転んだらクスッと笑う。でもその人が自分の知り合いだったら悲しくなる。転んでいるおじさんは同じでも、違うのは見方なんですよね。その見方がどう変わるのか。その振り幅があればあるほど、僕の中では表現が成功しているんです。

人は一生懸命、過剰に生きているんですよ。満員電車に乗っている人、一人一人の顔を見ていると、本当にイキイキとしている。みんな本当にイヤそうじゃないですか(笑)。本当に窮屈そうだしイヤそうだし、この世の終わりみたいな顔をしている。あの過剰さが僕は大好きだし、あれがリアルだと思っていて。芝居でも、ボソボソ喋ってあんまりリアクションしないのをリアルだとは思っていないんです。過剰に生きて、過剰にあがいている、というのを見せるのが、僕の中でリアリティとして立ち上がってくる。

喫茶店や居酒屋で会話するためには、大きな声を出しますよね。じゃないと周りにかき消されてしまうから。人はそうやってパワーを持って生きているので、その生きている過程を見せていくことが大事だなと思います。抽象的な言い方ですけど、生まれて死んでいく、というのを見せていくのがドラマ。僕という役柄がどこで生まれてどこで死ぬのか。物理的なことではなく、芝居的に生まれて死んでいく過程を、1つのドラマ、1話だったら1話の中でどう見せていくのか。そこに過剰さを見せていくのが、僕の中ではリアリズムに繋がっていく。それが見せられたらいいなという感じですね。

 取材の初めにご挨拶したとき、「お名前、本名なんですか?」と聞かれた。「ペンネームです」と言うと、「どうしてそのペンネームにしたんですか?」……感激のあまり顔が真っ赤になった。ライターの名前に興味を持つ人は滅多にいない。タレントさんには名刺を渡さないし、名乗らずに取材を進めることも多い。それが、ベテラン俳優の手塚さんに「企画書の名前を見て気になって、絶対聞こうと思っていた」と言われ、完全に舞い上がってしまった。「意識的に褒めたりはしないけど、興味を持ったことはそのまま言う」という手塚さん。……まさに究極の太鼓持ちの達人だ!

●太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~(6/3発売)
DVD‐BOX ¥11,800+税
Blu-ray BOX ¥14,800+税
発売元:テレビ東京
販売元:ポニーキャニオン

<取材・文・撮影/尾崎ムギ子>

尾崎ムギ子
体当たり系取材を得意とする赤毛の汗かきライター。東京生まれブルーハーツ育ち。ロックな奴はだいたい友達
太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方 ~DVD-BOX~

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