
イタコの仕事に必要な道具はまとめて柳行李に
恐山といえば、三大霊場の一つとして知られており、「人は死ぬと、お山(恐山)へ行く」という言葉もあるほどです。そして「三途の川」や「血の池地獄」など非現実的な光景が広がる、まさに“死後の世界のテーマパーク”。イタコは毎年夏(恐山大祭)と秋(恐山秋詣り)に山門付近に小屋を建て、参拝者を相手に「口寄せ」を行います。
お盆も近いということもあり、ズバリ聞いてみました。“死後の世界”ってあるのでしょうか?
「私たちイタコは、あの世へ旅立った仏様と残された人がこの世で再び出会い、お互いの思いを伝え合うお手伝いをします。普通、イタコが口寄せをするのは亡くなって百か日過ぎてからですが、ごくまれに、
亡くなってまもない仏様をおろすと必ず体が重くなり強烈な眠気におそわれます。
また、自殺した仏様をおろす場合は、首や手首など死因と関係した箇所や体の節々が痛むことも。それで、その仏様がどんな亡くなり方をしたかがわかります。口寄せでは、必ずあの世の門を開ける呪文と閉じる呪文を唱える儀式をおこなうので、基本的に問題はありません」
また、
口寄せを録音したテープに不思議な声が入ることもあるのだとか。亡き人の声を聞きたいという気持ちが高じ、一時期、恐山には「録音ブーム」が起きたそうです。また、子供の足音のような音や、口寄せを依頼した方の名前を呼ぶ声も……!
「私はこれまで、不思議な現象を目の当たりにしてきました。残された方たちが、そんな不思議な声や音によって亡き人の存在を身近に感じ、心慰められているのは確かな事実です」
亡き人の存在があるということは、死後の世界ってやっぱり“ある”のでしょうね……!?
また、これまで語られることのなかったイタコの世界の裏側、「口寄せ」以外のイタコの仕事についてなど、著書『
最後のイタコ』に書かれています。これを読んでイタコの弟子入り志願者が増えて松田さんが「最後のイタコ」にならないことを願うばかりです! <TEXT/ならこ>