“ハイスペック男と結婚した女”に嫉妬したときの対処法【アラサー女子の哲学入門】
【アラサー女子は哲学者である 第5回】
この年齢になると、周囲からさまざまな近況が入ってきます。「家を買った」「二人目がデキた」「離婚しようと思う」……などバラエティに富んだ報告がありますが、その中で私たちが最もダメージをくらうのが「結婚報告」ではないでしょうか。
結婚報告に胸をえぐられるのは、なにも独身アラサーに限ったことではありません! 既婚アラサーも、知人の結婚報告に胸をえぐられることがあるはずです。祝福したい気持ちもありつつも、どんな相手と結婚したのかが、聞くに聞けない時がありませんか?
よく勘違いされがちですが、女性は“結婚”そのものに対して憧れをもっているのではありません。“結婚”そのものではなく“結婚することにより、今よりも、良い生活を手に入れること”に憧れているのです。そして、今より良い生活とはなにかというと、経済的なことの他に、心の安定を手に入れることです。一人で戦っていかなくてはならないというプレッシャーから解放されることも重要になってきますね。
なので、知人が結婚したという知らせを聞いたときに「幸せを祝う気持ち」と「結婚相手が高スペックだったとしたら、自分の現状が虚しく感じてしまう……どんな相手と結婚したのか怖くて聞けねえ!」という気持ちの間で葛藤を覚えてしまいます。それは自分が独身であっても、すでに結婚していたとしても、です。
高スペックな男性と結婚した友達が、フェイスブックで「今日もママ友仲間とホテルランチに行ってきたよ☆」と投稿しているのを見て、自分とは違うルートに進んでいること、そして自分は将来的にそういったルートに入ることはないだろうという“可能性の消滅”を実感して、虚しくなることが正直あります。
「高スペックな男性と結婚したい!」と望んできたなら虚しくなることはわかるのですが、いままで望んでこなかったにもかかわらず、虚しい気持ちになるのは、自分が年を追うごとにどんどん人生の可能性が限定されてきていることを痛感してしまうからではないでしょうか。
デンマークの哲学者、キルケゴールの言葉で「情熱がなければ、世界は妬みに支配される」というものがあるのですが、まさにこの状況を言い当てています。
「自分自身にとっての幸せは○○だから、それを追求するために頑張るぞ!」と、自分にとって価値のあるものが何なのかを見極め、そこに生きることに情熱を燃やしていれば、他人を妬む暇なんてありません。
しかし、自分にとっての幸せがなにかがよくわかないまま、一般的に幸せとされる価値観をなんとなく追い求めていると、周囲より出遅れている感じがしたり、自分の人生の行きつく先がどこなのかがわからなくて迷走してしまうのです。
迷走している間は、他人の幸せや、自分と違うルートを歩んで幸せそうにしている人たちが妬ましく思えたりもします。もし、思い当たるのなら、それは自分の人生に情熱を持たず、自分の人生ではなく、他人の人生に気を取られているからではないでしょうか。
アラサー女性が迷走しているときに必要なのは、「情熱」です。私の場合は、情熱がなにかわからなくなってしまった時、原哲夫先生の漫画(北斗の拳、花の慶次など)を読み、ハードボイルドな熱さに触れるようにしています。その他、松岡修造日めくりカレンダー「まいにち修造」も生きる情熱を燃やすことに効果的だと思われるので、常備させておくと、いいかもしれませんね。
<TEXT/原田まりる>
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【プロフィール】
85年生まれ。京都市出身。作家・哲学書ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。元レースクイーン。男装ユニット「風男塾」の元メンバー。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。ホームページ(https://haradamariru.amebaownd.com/)

自分の人生の可能性が限定されてしまうから嫉妬する
自分にとっての幸せがなにかを認識し、情熱を注ぐ
原田まりる
85年生まれ。京都市出身。作家・哲学ナビゲーター。高校時代より哲学書からさまざまな学びを得てきた。著書は、『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)。元レースクイーン。男装ユニット「風男塾」の元メンバー。哲学、漫画、性格類型論(エニアグラム)についての執筆・講演を行う。
原田まりる オフィシャルサイト⇒ https://haradamariru.amebaownd.com/
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