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『王家の紋章』60巻が発売に!いま物語はどうなってる?【全巻読破】

『王家の紋章』(細川智栄子あんど芙~みん著、秋田書店)60巻が発売になりました。 「クレオパトラとエジプトの王妃展」とのコラボガイドブックが販売されたり、来夏ミュージカルが上演されることが決まったりと、いっそう勢いを増しています。
『王妃の勲章』60巻

2015年7月に発売された『王妃の勲章』60巻(秋田書店)

 しかし連載は39年の長きにわたっております。「子どもの頃は読んでたけど、今は追ってない」という方も多いのでは? ということで、そんな元読者の皆様に、現在60巻ではどんな状況になっているのかをざっくりご紹介いたしますね。  全部読み返すのが辛い方は、このコラムを読んで55巻くらいから読み始めてもいいし、単行本はすっ飛ばして連載を追い始めるのもよいでしょう。もちろんですが、ネタバレ注意です。以降はご自身の判断でお読みください。 ===【以下、強烈ネタバレ注意】===

そもそもどんな話?

 ざっくりあらすじをご説明しましょう。20世紀のアメリカ娘キャロルは、現代に復活した女王アイシスの呪いにかかって古代エジプトに連れて行かれます。アイシスは弟のメンフィス王を深く愛しています。  ところがキャロルがエジプトには珍しい金髪娘だったこと、そして20世紀の知識を持ってあれこれ偉そうなことを言うものだから、メンフィスはキャロルを深く愛するようになっていくのです。キャロルが邪魔でしょうがないアイシスは、以後、執拗にキャロルの命をねらいます。
『王妃の勲章』1巻

記念すべき第1巻(1977年発売)。金髪のキャロルも、今とはだいぶタッチが違う

 キャロルは奇跡っぽいこといっぱいやって「ナイルの娘」と呼ばれるようになり、その名は周辺各国に知れ渡るようになりました。そうして、時の権力者が次々とキャロルをさらうようになるのです。以後、さらわれちゃあ戻り、さらわれちゃあ戻りを繰り返してます。その誘拐犯筆頭がヒッタイト王国のイズミル王子ですね。  イズミル王子は、序盤、キャロルに想いを寄せながらも、ヒッタイトの王子らしく国益を重んじ、たいへん男らしくてかっこよかったものです。しかし当て馬の悲しさよ、イズミル王子はだんだんダメ男になっていきます。  キャロルをさらって彼女の意識をもうろうとさせ、勝手に結婚式を執り行います。で、「とうとうキャロルとやれる!」とウキウキして身体をほてらすイズミル王子。ところがキャロルが寝ているはずのベッドに行ってみると、そこはもぬけの殻。夜も眠れないほどたまりまくって期待で胸一杯だったのに寸止めです。イズミル王子、もういいから他で抜いてきて……!

60巻のイズミル王子は“国より恋”状態に

『王妃の勲章』57巻

第57巻、表紙はイズミル王子

 そんなかわいそうなイズミル王子、42巻からずっと怪我したままです。女に肩を刺されて生死をさまよったかと思えば、今度は53巻でキャロルと一緒に氾濫したユーフラテス川に落ちて大けがします。ヒッタイト兵が「濁流がふくれ上がり奔流となって押し寄せてきたっ」とか長々叫びながら流されていくんですが、誰に報告してるんでしょうか。  キャロルも水の中で目を覚まし、「わたし…激流のなか…」とつぶやきます。何度もナイルに落ちてるうちにエラ呼吸ができるようになったんでしょうか。  キャロルを抱きながら激流に流されるイズミル王子。あちこちの岩に全身をぶつけ、今度こそ瀕死になります。以来60巻までずっと寝たきりです。イズミル王子が意識も戻らず寝ている最中、彼のお父さんが政略結婚を決め、トラキア王国の姫タミュリスと結婚させようとします。タミュリスは、だいたい寝てるイズミル王子しか見てないんですが、なんか猛烈にお慕いするようになります。王子、よっぽど寝姿がイケメンなのですね。  60巻では、彼女との政略結婚を嫌がったイズミル王子、「やだよキャロルがいいもん」と言って父に逆らい、城を出てしまいました。作品序盤は、ヒッタイトを窮地に陥れたキャロルに短剣投げつけて大けがさせたりして、彼の正義の一番はヒッタイトにあったはずなのに、キャロルに夢中になるあまり、国益とかどうでもよくなってしまったようです。 ※「Vol.2『王家の紋章』60巻現在、キャロルとメンフィスの近況は…」 <TEXT/和久井香菜子> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【和久井香菜子(わくい・かなこ)】 和久井香菜子ライター・イラストレーター、少女漫画コンシェルジュ。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表
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