爆笑!ネットでブームの「再翻訳」、あの名言もヘンテコ日本語に
数年前からネットで「再翻訳」がブームになっているのをご存じでしょうか。
ネットでは、文章を入力すると自動で翻訳してくれるサービスがあります。そこには「再翻訳」というボタンがついているんです。翻訳された自分の文章が正しいのかどうかをチェックするためでしょう。元の文章と同じくらい意味の通る再翻訳になっていたら、翻訳もそこそこ正しいのではないか、という判断をするわけですね。
このチェック機能を逆手にとって、思いっきり変な日本語を堪能するのが、「再翻訳モノ」。ネットでは「再翻訳して歌ってみた」をはじめ、さまざまな動画や文章がアップされています。
その中で特に評判なのが、「昔話」を再翻訳したもの(2006年に書籍化されたのが、いま再注目されています。その時点での再翻訳)。
『うらしま太郎』→『背面ストライプのタロイモ』
『かぐや姫』→『匂いをかがれるとすぐにプリンセス』
『一寸法師』→『少量法律助言者』
といった具合です。
その他、『北斗の拳』の再翻訳動画がネットに上がっていますが、これが腹筋がつるくらいの面白さです。吹き替えの演技もうまいので、暗記するくらい何度も見直してしまいました。
少女漫画コンシェルジュとしては、ここでやはり少女漫画のタイトルを再翻訳しなくてどうする!ということで、香ばしそうなタイトルを選んでやってみました。
(すべてエキサイト翻訳、日本語→英語→日本語)
●『ベルサイユのばら』→『ベルサイユでの分離』
「分離」とは、革命の比喩ですかね。
●『はいからさんが通る』→『はい、携帯用化粧道具入れさんは通過する』
「から」が「携帯用化粧道具入れ」になるナゾ。
●『失恋ショコラティエ』→『愛情SHOKORATIEにがっかりする』
ショコラティエのつづりにがっかりする。
●『ヒロイン失格』→『ヒロイン失敗』
失格ではなく失敗。より容赦なくなりました。
●『罪に濡れたふたり』→『犯罪によって湿る2人の人々』
「湿る」だと色気が吹き飛びますね。
●『ぴんとこな』→『堅く粉』
できないのわかっててやってみました済みません。ぴんと→堅く、というのは努力のあとを感じます。

おもしろいので少女漫画の名セリフにチャレンジ!
●「紫のバラの人」→「紫の人は立ち上がった」
英訳は「Person of a purple rose」で、合ってる気がするのに、再翻訳では何故か立ち上がってしまいました。
●「貴族のやつらをしばり首」→「貴族はそれら、電話の切りである」
電話で済むなら平和な話だったのに。
●「マヤ…おそろしい子…!」→「マヤ語…、心配している子供…!」
マヤはどうしてもマヤ語になってしまうようです。
●「馬引けーっ!」→「Umabiki KE!」
馬すら日本語として復活しませんでした。
それでは最後に、不敬ですが国歌を再翻訳。
「君が代?
それはチヨのヤチヨに向いている。
Sazareishiのうちのもの
それはNARIおよびイワオとである。
それが蒸気を出した時の苔の間に。」
いきなり疑問型です。君が代?
自動翻訳の精度は日進月歩でどんどんよくなっています。そのうち、再翻訳で笑えるネタは出てこなくなってしまうかも。今のうちが楽しい、旬の遊びです。
<TEXT/和久井香菜子>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
【和久井香菜子(わくい・かなこ)】
ライター・イラストレーター、少女漫画コンシェルジュ。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌などで執筆
『失恋ショコラティエ』を再翻訳すると…

あの名セリフも「君が代」もメタメタに
和久井香菜子
ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「合同会社ブラインドライターズ」代表