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「おカネ目当ての関係でなにが悪い?」岩井志麻子、愛人を語る

本当の愛をめぐる冒険/第2回 作家・岩井志麻子Vol.3】  パートナーと10年付き合っているゲイライターの渋谷アシルが、「本当の愛とはいったいなにか」を追求する冒険に出発。恋愛や男女関係のスペシャリストたちに話を聞いてまわります。  第2回のスペシャリストは、作家であり、破天荒なキャラクターでタレントとしても活躍している岩井志麻子さんです。

長年連れ添う夫婦は愛情があるわけじゃない

夫婦 愛というものを言い訳やごまかしに使う人が多いと憤る岩井さん。確かに、振り返ってみれば、にっちもさっちもいかない状況下で、自分をごまかすために使ってしまうことがあるかもしれない。でも、やっぱり愛がない関係や結婚は嫌だって思う人が多いのは事実だと思うの。 「なんでそこに愛が必要なんだろうって、不思議でならないですね。長年続いている夫婦は愛情があるのではなくて、単純に“相性がいい”ってだけなんですよ。一緒にいて楽だっていう。それに、相手に関心がない方がうまくいきますよね。余計なことを考えなくて済むから。  わたしね、ベトナムに15年くらい続いている愛人がいるんです。彼には妻子もいて、絶対に未来の約束なんかできない。でも、だからこそうまくいっているんです。この先どうするの、わたしのことどう思っているの、どう責任取ってくれるの、みたいな気持ちが一切なくて、ただ会いたい、楽しい、気持ちいいってだけ。だからケンカにもならない。これを『金で男を買っているだけ』って言われたら、確かにそうかもしれない。だけど、そこでわたしがなんで愛をもって反論しなければいけないんだろうって思います。そんなに愛がなきゃいけないのか! 本当にみんな“愛教”に囚われすぎですよねえ」

お金でつながる関係のなにが悪い!

 ベトナム愛人との日々は、岩井さんの著書『trai cay(チャイ・コイ)』の原案にもなり、そこで彼との赤裸々な毎日を書いたそう。そしてあるとき、驚きの事件が岩井さんを襲ったとか。
岩井志麻子さん

岩井志麻子さん

「その『trai cay(チャイ・コイ)』を読んだOLさんが、本の中に出てくるわたしの愛人に恋をして、実際に現地まで会いに行ったんです。で、ヤッちゃった(笑)。あいつも軽い男ですわ。で、あるときわたし宛に手紙を寄越してきて、『あなた(岩井さん)と彼との間にはお金しかない。だけどわたしと彼には愛がある』って主張するんですよ。それで、わたしが彼に『どっちがいいの?』って訊いてみたら、『志麻子がいい! だってお金持ってるもん』って断言したんです(笑)」  なんとも言えない話(笑)。だけど、岩井さんはこう続けてくれたの。 「彼のことを打算的で汚いっていう人は、ベトナムの現実を知らなすぎます。貧しい国では、お金を持っている人=能力がある人ということで、尊敬に値するんですよ。わたしがお金持ちだなんて決して言うつもりはないけれど、お金でつながっていることを否定されたくもない。  大体、日本では、愛情は尊いものでお金は汚いもの、という認識が強すぎると思います。はっきり言って、お金と愛情は密接に関係していますからね」  お金と愛情は切っても切り離せない。岩井さんはそう断言する。それってどういうことなのかしら……。 ☆今週の格言:長く続く関係に、“愛”なんていらない 【岩井志麻子さん プロフィール】 作家。高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。『岡山女』『trai cay(チャイ・コイ)』『自由戀愛』など、著書多数。「エロくて変なオバちゃん」というキャラクターを活かし、テレビ番組でも活躍中。最新情報はtwitter:@omekoboshi_infoにてチェック。 <TEXT/渋谷アシル> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【渋谷アシル プロフィール】 昼間は会社員の仮面をかぶった、謎のゲイライター。これまでお付き合いしてきたオトコをネタに原稿を執筆する、陰険な性格がチャームポイント。オトコに振り回される世の女性のために、ひとり勝手にPCに向かう毎日。
渋谷アシル
昼間は会社員の仮面をかぶった、謎のゲイライター。これまでお付き合いしてきたオトコをネタに原稿を執筆する、陰険な性格がチャームポイント。オトコに振り回される世の女性のために、ひとり勝手にPCに向かう毎日。
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チャイ・コイ

ひとり旅で訪れたベトナムで、私は恋に落ちた。この男と寝たい、という狂おしい思いを恋と呼ぶならば。サイゴン川のほとりで、ホテルの部屋で、互いを求め合う淋しい男女の物語。選考委員の圧倒的な支持を得て、第二回婦人公論文芸賞を受賞した話題の意欲作。

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