私はすぐさま検索をかけた。「白装束 石 お参り」と。すると、そこには
“御嶽(うたき)”という文字が出てきた。その後も、引っ越してきた土地や、場所などを検索し続けていくと、自分が今いる住所に、その御嶽があることが判明した。
どうやら私は、御嶽に住んでしまったらしい。
御嶽とは、琉球の神話の神が存在、あるいは来訪する場所なんだとか。神に仕えるのは女性とされるため、昔は男子禁制だったらしい。
……たしかに、さっきは女性しかいなかった! 怖い怖い怖い、ビンゴだ! これだ!
その後も調べていると、御嶽に無意味に立ち入ると、祟られるらしい。
え……。
た、祟られるの!? ダメじゃん! え、知らないよ、そんなの!
もちろん、これは宗教上の考え方で、無宗教の私には関係のないことなのだが、そんなところに住んではいられない。しかも、週1で白装束の人が勝手に入ってくる家なんか、絶対に嫌だ!
その後、信じるか信じないかは別として、この家に住み始めてから、我が家の夫婦関係は顕著に悪くなった。もちろん、御嶽のせいではないと思っている。が、明らかに鬱っぽくなっていった元旦那を考えると、そのせいもあるのかな、なんて思ったりもする。
もしかしたら、あの白いハトは、この御嶽に入った祟りにでもあったのか……。
その真相は、今や闇の中である。
しかし、つい最近、私が引っ越した土地の出身の人にある場所で会ってこの御嶽の話をすると、
「え、御嶽に住んだの!? ダメダメ! あははは、バカじゃないの!」と腹を抱えて笑われた。
その後、御嶽に関する怖い話を多々聞いたが、元当事者の私は一つも笑えなかった……。
人間、まだまだ“知らぬが仏”なことがたくさんあるようだ。
どうかみなさま、内見の際にベランダで白いハトが死んでいたら、絶対にその家は住まないことをオススメする。たとえどんなに豪華で安い物件でも。
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>
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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(
@singlemother_ky)
- ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。
- 娘(8歳)。しっかり者でおませな小学2年生。イケメンの判断が非常に厳しい。
- 息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者
※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。