つまりデンスブレストの場合、定期的に乳がん検診を受けていても、異常を見過ごされている可能性があるということ。なぜこれまでデンスブレストに対して、あまり世の中で認知されてこなかったのでしょうか。
「私たち医師は、日本医学放射線学会によるマンモグラフィガイドラインに基づいて検診・診断を行っています。ここでは、乳がんの危険性をカテゴリー1(正常)から5(癌)に分けて判別することがルーティンになっているのですが、
実はそこに含まれない『カテゴリー0』というものが存在するんです」
『マンモグラフィガイドライン 第3版増補版』
アメリカ放射線専門会では、カテゴリー0として
「撮影不十分、他の画像検査を追加して評価」という項目が存在します。しかし現状日本の乳がん検診では、正常か異常かの評価にすべての症状を振り分けています。その結果、デンスブレストのような、画像に異常が映りにくい胸に対して個別に対応しきれていないというのです。
「なかには、デンスブレストであることを本人に伝える医師もいます。ただそれは規則ではありません。私の過去の経験では、
マンモグラフィで異常なしと判断された女性を触診したところ異常を発見し、エコーを撮ってみると乳がんが発見されたケースもありました」