―40歳までにオシャレになりたい!Neo トミヤマユキコ―
ファッションに興味はある。服を選ぶのは嫌いじゃない。ダサいわけでもない。でも、ガチで女らしい格好はちょっと恥ずかしいし、シンプルシックな格好はどうにもつまらない。
そこで、ついつい変な服を選んでは、オシャレ/非オシャレの圏外に飛び出し、いい大人なのに「オシャレっていうか、なんかおもしろい服を着ている人」状態に……そんな悩みを抱えた読者は少なくないはず!
おもしろ最優先で生きてきた結果、人生も洋服も若干とっ散らかり気味な著者が、40歳までにオシャレになるべく奮闘するコラム連載第3回!
アラサー、アラフォーが言いがちなことのひとつに
「痩せたんじゃねぇ……加齢で肉が落ちたんだ……」というのがある。かつてむっちりと全身を覆っていた肉が、気づけば重力に負け、下へ下へと……。その結果、腹まわりの肉はだぶついているのに「鎖骨まわりだけやたらスッキリ」という
謎体型が完成する。
わたしもここ2~3年で謎体型の仲間入りを果たした。もともと痩せ型なのだが、それでも肉は落ち、腹部に溜まった(体重の増減はほとんどない)。風呂場の椅子に腰掛け、シャンプーしようと前屈みになると、空気が抜けた浮き輪みたいな、ひしゃげた肉が腹にぐるっと巻き付いている。人は歳を取ると、痩せたままたるんでゆくのだなあ(つらい)。ジムにでも通っていれば、この状況を先延ばしにできたのかも知れないが、朝から夕方までパジャマで過ごすような人間には、土台ムリな話である。
しかしながら、謎体型にもいいことはある。若い頃だったら「どうせ胸の谷間を見せたいだけでしょ!」みたいになりがちだった
鎖骨見せスタイルを、色気抜きで楽しめる。肉が落ちたことで、いい感じにスッキリする胸元、これは大人の特権だ。肉を見せる時代が去り、骨を見せる時代が来たのだ。襟ぐりの大きく開いた服を着ていても、妙なエロさがなく、大人の余裕すらかんじさせるこのスタイル、マスターしておいて損はない。
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こちらの記事は、トミヤマユキコさんの書籍『40歳までにオシャレになりたい!』に収録されました。

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【トミヤマ・ユキコ】

ライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。
Twitter
@tomicatomica
タイトルイラスト/澁谷玲子
トミヤマ・ユキコ
ライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。
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