では、具体的にどうしたらよいかご説明しましょう。まず自分の好きな分野、興味のある分野から始めましょう。美術が好きなら美術から、インテリアが好きならインテリアからです。
決めた分野で、優れている、素晴らしいと言われているものを片っぱしから見るようにしましょう。始めたばかりの時期は、とにかくたくさん見ることに徹しましょう。
もし住んでいる地域で、自分が興味のある分野について見たり、経験したりすることができないならば、その地域で盛んな工芸でも、有名な建築でも、何でも構いません。ある程度時間がたってもなお認められている、
生き続けているものを見てください。

映画『パルプフィクション』
見るときにやるべきなのは、いつも見たなかで自分にとってのベストを1点だけ見つけていくことです。自分が買うとしたらどれか、自分が所有するとしたらどれかを考えながら見て、
自分がもっともひかれるものを1点いつも選びます。そして、その作業を繰り返します。
1つの分野について、ある程度見る経験が積めたならば、次はもっとほかの分野についても見ていきましょう。
そうして時間をかけて数多く見ていくうちに、何を見ても、
そのなかでのベストが瞬時にわかるようになります。ファッション誌を見ているだけ、お買い物をしているだけではわからなかった、このなかで買うべきもっとも優れたものが目に飛び込んでくるようになります。そこまでくればしめたもの。センスは磨かれたと思っていいでしょう。

ただし、その境地に達するまでにはある程度の時間が必要です。今まで何もやってこなかったのならなおさら、時間を要します。こればかりは一朝一夕で身につくものではありません。けれどもここで身に付けたセンスは、一生あなたの宝になるでしょう。誰にも奪われることも、壊れてなくなることもありません。
ブランド物のバッグやお財布を買う前に、とくに若いうちは、センスを磨くことにお金をかけましょう。そうやってお金を使ったとしても、後悔することはありません。年を重ねたときに、そのありがたさが身にしみてわかることでしょう。
<TEXT/小林直子>
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【小林直子】
ファッション・ブロガー。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、文化服装学院卒。東京コレクション参加ブランドのパターンナー、大手アパレル会社の企画室を経て独立。現在、湘南エリアを中心に独自に開発したメソッドによるファッション・レッスン、各種ワークショップを開催するなど活動中。ブログ『
誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』