Beauty

おしゃれには「個性」より「ルール」のほうがずっと大切な理由

長い時間かけてできた美意識の上にファッションがある

 そのほかにも、西洋の衣服の歴史のなかで、下着であったTシャツ、そして作業着であったジーンズでオフィシャルな場に出ていくことはふさわしくないことですし、許されない場合もあります。それがなぜかと聞かれれば、下着姿で公の場には出ないという暗黙のルールがあるからです。  ふさわしくないスタイルをした時点で、おしゃれかどうかなど、どうでもいい話になります。  また、それだけではなく、西洋には厳然とした美の系譜というものがあります。西洋美術史をひもとくまでもなく、色の組み合わせ方、柄の選び方、生地の選択、シルエット、肌の見せ具合など、何年もかけて、美の発見をした上での衣服になるのです。
マリー・アントワネット

フランス王妃、マリー・アントワネットの肖像画(Jean-Baptiste Gautier Dagoty 、1775年)

 その例が全体を3色以内に収める「3色ルール」であり、上下同じ色、素材でそろえて着るものというスーツというスタイルです。それをいまさら、スーツは上下着なくてよい、色の組み合わせもばらばらでも構わないなどとは、口が裂けても言えないのです。  そんなことを言う行為は、無知以外の何ものでもありません。

日本人はまだ洋服のことを知らない

 日本に住む私たちは、そんな西洋の衣服の歴史や伝統を完全に理解しているわけではありません。洋服を着るのがごく普通になったのは第二次世界大戦後のこと。一般に洋服が着られるようになって、まだ100年たってはいないのです。西洋の美の伝統がどんなものであるのか、よほど勉強しないことにはわかりません。 ファッション 私たちは、洋服についてすべてを理解してはいないと、認めなければなりません。今はまだ洋服というそれまでとは違った異質な文化を取り込んでいる最中です。そこから本当の意味でのオリジナルな何かを生み出すのは、もう少し先の話になるでしょう。  まずはルールを知るところから始めましょう。やってはいけないこと、やったらひどくおかしいことがありますので、それについて調べて、知っておきましょう。ルールから自由になるのは、その後です。  ルールなどないという言葉を真に受けないで、謙虚に学ぶことが先にやるべき大事なことです。 <TEXT/小林直子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【小林直子】 ファッション・ブロガー。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、文化服装学院卒。東京コレクション参加ブランドのパターンナー、大手アパレル会社の企画室を経て独立。現在、湘南エリアを中心に独自に開発したメソッドによるファッション・レッスン、各種ワークショップを開催するなど活動中。ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール
小林直子
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。
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