Beauty

おしゃれには「個性」より「ルール」のほうがずっと大切な理由

●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」10 by小林直子●

Q.おしゃれにルールはあるの?



 ファッションにはルールがないと読みました。本当でしょうか。ルールがないのなら、どんな格好をしてもいいということでしょうか?

A.ファッションはルールの積み重ねです



回答:小林直子(ファッション・ブロガー) 

 私たちがファッションと言うとき、それは主に西洋の衣服の文化を指します。西洋の服、靴、バッグ、その他アクセサリーなどのスタイル、そして風習です。このスタイル・風習は、最近完成したものではありません。それこそ西洋の地で何年もかけてできあがったものです。

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『ウィメンズウェア100 年史』 (P-Vine Books)。ファッションの歴史が美しい写真で 見られる本 ※画像をクリックすると、Amazonのページにジャンプします。

 理解しやすいように着物(和服)の例で説明しましょう。

 着物には厳然としたルールが存在するということは、皆さん、ご存じでしょう。季節によって着る素材、色、柄、そのあわせ方、また訪問着や留袖など、シチュエーションによって着ていいもの、着てはいけないものなど、細かいルールが存在します。

 なぜこのようにルールがあるかというと、長い歴史と伝統の中でスタイルが洗練されてきたことと、ルールがあることによって、いちいち組み合わせについて考える必要がなく、より効率的に着物や帯をそろえるためです。

 これと同じことが西洋の衣服、つまり洋服についても言えます。ファッションのルールは、その歴史と伝統のなかでつくられた洗練の結果で、私たちの生活が衣服に振り回されないための一つの知恵でもあります。

ウィメンズウェア100年史2

『ウィメンズウェア100 年史』 のサンプルページより、1960年代ファッション

 また、長い時間かけてつくられた、はっきりと明文化されていないこういったルールは、すでに私たちの潜在意識に刷り込まれています。例えば男性がスカートをはいて働きに行かない、女性がスーツにネクタイを締めて公の席には出ないなど、誰かが教えたりしなくても、私たちは自然にそのようにふるまいます。

 ファッションは自由だ、ルールなどないという話は、それらしく聞こえますが、実際、そのようなことはありません。

ウィメンズウェア100年史3

『ウィメンズウェア100 年史』サンプルページより。1969年のヒッピースタイルだって、ルールがわかった上での自由

 試しに、何も考えず、ただ好きというだけのものをすべて集めて、そのスタイルのまま、表参道でも銀座でも歩いてみるとよいでしょう。そのスタイルは誰もが認めるおしゃれとなるでしょうか。そうはならないであろうということは、容易に想像できます。

 なぜなら、西洋の衣服という文化において、男性はスカートをはかない、ウェディングドレスは結婚式に着るもの、下着やパジャマのまま外は出歩かないというルールがあるということを、皆、知っているからです。

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