また、男子アイテムだけでまとめることにはもう一つ危険な点があります。人間というものは、年を取るにつれて、性差、つまり男性と女性の差が小さくなると言われています。年齢が上がれば上がるほど、この傾向は顕著になります。
皆さんも、例えば天気のいい日の行楽電車で、山登りへ向かう高齢な方々のスタイルをご覧になったことがあると思いますが、後ろから見ると、男か女かわからないスタイルの方がかなりいらっしゃいます。
男性とまったく同じ格好をして、それがおしゃれに見えるのは、残念ながら若いときだけ。そのほかで男性と同じ格好をして許されるのは、峰不二子並みのセクシーなボディの持ち主か、存在自体がセクシーでミステリアスである、ティルダ・スウィントンのようなアンドロジナス(性差を越えた)な魅力を持った人のみなのです。
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女優のティルダ・スウィントン(PHOTO/Sbukley)
そんな、存在そのものがセクシーな人の場合は、男子服を着ることによりギャップが生まれ、セクシーさが強調され、おしゃれであるとみなされます。ですから、そういった人たちが素肌にテイラード・ジャケットを着て、みずからのセクシーさを強調するのは、大いに推奨されることなのです。
しかしほとんどのそうでない方は、そんな危険なチャレンジをするのはやめておきましょう。それは逆効果であり、おしゃれに無頓着な変人に見えるのがおちです。
しかし、ファッションとは自由なものでもありますので、そういった方の存在を否定してはいけません。誰にでも表現の自由があり、好きな格好をする権利があります。もちろんそれはあなたにもありますから、この文章を参考にとどめ、好きな格好をしてください。甘辛ミックスするもよし、しないもよしです。
<TEXT/小林直子>
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【小林直子】
ファッション・ブロガー。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、文化服装学院卒。東京コレクション参加ブランドのパターンナー、大手アパレル会社の企画室を経て独立。現在、湘南エリアを中心に独自に開発したメソッドによるファッション・レッスン、各種ワークショップを開催するなど活動中。ブログ『
誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』