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成宮を“ゲイ”と騒ぐ一方でマツコは大人気…LGBTへの奇妙な視線

カミングアウトとは秘密を打ち明けるだけではなく、LGBTとして生きていくこと

“ゲイ=オネエ”という思い込みやレッテルが広く浸透し、いわば「ずれた形で市民権を得ている」のが日本の現状のようです。その辺について、さらに詳しく聞いてみました。
榎本悠里香さん

榎本悠里香さん

――先日、Letibee LIFEで、日本語と英語ではカミングアウトの意味が違う、という記事を書かれていたのを読みました。それってどういうことでしょうか。 榎本「ジャーナリストの北丸雄二さんの記事ですね。日本ではカミングアウトは『秘密を暴露する』『秘密を打ち明ける』と一般的に捉えられています。しかし英語で、カミングアウトとは、たとえば、『ゲイだ』と言うことだけを指すのではなく、『ゲイである自分を受け入れ、自分のありたい状態で生きること』と捉えていいと思います。

#lovewins over prejudice.

xoxo, Joanneさん(@ladygaga)が投稿した写真 –

 カミングアウトはもともとComing out of the closet(※)という言葉から来ていて、自分がどんな人間なのか、生き方をするのか、価値観を持っているのかと言うのを出して生きていくことだと北丸さんは言っていて、私も自分自身、カミングアウトオブクローゼットに近い感覚ですね。」 ※「押し入れから出てくる」つまり、(真の自分を押し込んでいた)クローゼットの中から出て真の姿を開放することの比喩。
レインボーアイコン

レインボーフラッグはLGBTの尊厳と社会運動のシンボル。アメリカ全州で同性婚が認められた時Facebookではレインボーアイコンにする人が多数

――今回、成宮さんの件では「アウティング」という言葉がよく聞かれましたが、榎本さんは前回「成宮さんの件はアウティングと言うことには抵抗があります。」とおっしゃっていました。それではアウティングとはどういうものなのでしょうか。 榎本「当事者本人の許可なく、本人の性的指向や性自認の秘密を周りの人に言ってしまうことを“アウティング”と言います。  例えば職場の場合、当事者が信頼のおける上司に打ち明けるとします。その後、本人に確認をとらずに、上司が冗談でも他の人に対して『この子、レズビアンだから』と言ったり、『あの子はレズらしいよ』と噂を広めたりしたら、アウティングをしたことになります。」
東京レインボープライド

「東京レインボープライド」では性的マイノリティ当事者とその支援者が一堂に会するパレード・フェスタを開催。昨年は7万人以上を動員。公式サイトより http://tokyorainbowpride.com/

――アウティングとカミングアウトは違うものなんですね。アウティングされたときのダメージは人それぞれだとは思いますが、具体的な事例などありますか。 榎本「2016年6月に社員が職場を提訴した、愛知県にあるヤクルトの工場での事例(※)が挙げられるかと思います。  これは極端な例ですが、ゲイという噂が広まって、会社に居づらくなったり、会話がしづらくなって離職したり、メンタルヘルスが参ってしまうケースはあると思います。うわさが流れてしまうだけで精神面としてはダメージがあると思います。」 ※トランスジェンダーの会社員が、職場でカミングアウトを不当に強制されて精神的苦痛を受け、うつ病を発症したとして、勤務先の愛知ヤクルト工場に損害賠償を求める訴訟を起こした。  訴状によると、社員が性同一性障害の診断書を提出し、職場では男性名のままで働きたいこと、ただ更衣室は男性用を使わなくて済むように上司に相談。しかし結果、会社は掲示物や名札を女性名に変え、朝礼で3回、本人にその旨を全社員の前で言わせた。
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もしカミングアウトされたら…「無理にクールに振る舞うことはないです」
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