服はどんどん買っても、おしゃれになれない最悪スパイラル
“いやいや、ポイントとして赤を使うのよ”という場合は、例えば残りのコート、靴、ワンピースなんかを全部黒かネイビーでまとめて、そこに赤一点投入という方法もあります。けれども、黒で全部そろえられない、ネイビーもコートとワンピースはあるけれども靴がないといった場合、結局は何かしら買い足さなければなりません。
つまりこういうことです。自分が集めてもいない色、目指してもいないルックスなのに、誰かのお勧めで何かを買ってしまったら、そのためにまた買い足すハメになる、ということです。
恐ろしいのは、そうして誰かのお勧めでどんどん買っていくと、いろいろな色やテイストがどんどん混在することになり、ワードローブはどんどん膨れ上がり、お財布はどんどん軽くなり、最終的にお金はたくさん使った、お洋服もたくさん持っている、だけれどもおしゃれには見えないという、最悪な結果を招く可能性があるということです。
実は、私のクライアントでも、とあるスタイリストのお勧めのものをどんどん買っていった結果、好きでもないのにワードローブがグレーとジーンズやワークシャツ、カーゴパンツなどの作業着だらけになり、1年間に使った額はハイジュエリーを何個も買えるほどで、かつ誰からもおしゃれと言われないという悪夢を見た方がいます。
悪夢ならまだいいのですが、それは夢ではなく現実で、目覚めたらいつも自分のベッドルームにはグレーの作業着が山積みなのです。
もしあなたが、赤が好きで赤いアイテムを集めているのなら、誰かのお勧めで赤いバッグを買っても構いません。でもそうでないのなら、好きでもないもの、集めてもいないもの、目指したスタイルではないものを、安易に買わないようにしましょう。誰かがお勧めしたからって、それがおしゃれに見える保証など、どこにもないからです。
<TEXT/小林直子>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
【小林直子】
ファッション・ブロガー。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、文化服装学院卒。東京コレクション参加ブランドのパターンナー、大手アパレル会社の企画室を経て独立。現在、湘南エリアを中心に独自に開発したメソッドによるファッション・レッスン、各種ワークショップを開催するなど活動中。ブログ『
誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』