完全にTPOを無視した服装で来てしまっていた。
私の周りには音楽好きが多く、ライダース×スキニー×ブーツは標準衣装。しかし、朗らかなママさんたちにライダースでキメている人はいない……。たしか先日、
「ベビーカーを街中で押して文句を言われる人は、ライダースを着るだけでぱったり言われなくなるからオススメ」というツイートも見かけたな……。すごいな……ライダース……。
もうこの見た目のまま、この場所でやたらロックなイメージを払拭するのは無理だろうとしょんぼり席に戻ると、同じ保育園から小学校に行くママが座っていた。
ああ女神! 女神がいたよ!!
そのママの隣に座り、一気にさみしい空気から解放されホッとした後、彼女に
「ライダースのせいなのか周りに誰も座ってくれなかったんだけど」というと豪快に笑ってくれた。
あぁ、よかった。
ちなみについ先日、坂口健太郎くんと最上もがちゃんに憧れて金髪ショートにしようか真剣に悩んでいたが、止めておいてよかった……。もう私、金髪にはしません……。ひとりで奇異の目にさらされても堂々としていられる勇気は私にはありません……。
その後、他のママさんたちとは一切絡むことなく説明会を終え、息子を預かってもらっていた先生のもとに迎えに行くと、他の誰よりもニコニコと笑顔を振りまき、両手にはそれぞれ別々の先生の手を握る息子が見えた。
思わず駆け寄り、「息子は大丈夫でしたか?」と先生に聞くと、
「すっごくいい子でした! 特に女性の先生からは大人気でしたよ~」とお墨付き。このコミュニケーション能力、息子ながら羨ましい。
息子の養護学校生活、ママの私よりも、息子の方がいいスタートを切ったようだ。
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>
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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(
@singlemother_ky)
- ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。
- 娘(8歳)。しっかり者でおませな小学3年生。イケメンの判断が非常に厳しい。
- 息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者
【ワタナベチヒロ プロフィール】
漫画家、イラストレーター。お金にまつわる役立つ知識をオールマンガで1冊にまとめた著書『
お金に泣かされないための100の法則』(ファイナンシャルプランナー山口京子先生が監修)が主婦と生活社より発売中。
※このエッセイは月ごとに配信予定です。