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浅田真央が教えてくれた、“負けた自分”との向き合い方

 フィギュアスケーターの浅田真央が引退を発表しました。ピョンチャン五輪への出場を目指すと伝えられていた中での決断には驚かされました。“まだできるのに”と惜しむ声もあがり、改めて影響力の大きさがうかがえるニュースでした。

『浅田真央 夢の軌跡~ドリームのきせき~』

『浅田真央 夢の軌跡~ドリームのきせき~』

2回の五輪で、メダルよりも記憶に残ったもの



 10代前半から現在に至るまで成長を見てきて、強い思い入れがあるという人も多いでしょう。だけど、特に熱心なファンでなくても、浅田真央を見ると特別な感情がわいてくる。ただ“スケートが上手で天真爛漫な女の子”では片づけられない。

 彼女にはある種の偉大さがあったのです。しかも、それが勝利や成功ではなく、むしろ失敗や挫折を味わうたびに発揮されていたのが興味深い。

浅田真央

(c) Olga Besnard

 ベタになりますが、やはりこの2つは外せないでしょう。1試合で3回のトリプルアクセルを成功させながら銀メダルに終わったバンクーバー五輪。全身で涙をこらえようとしていた演技後のインタビュー。途中で切り上げても誰も文句を言わなかった状況で、最後まで質問に答え続けました。

 そして記憶に新しいソチ五輪。ショートプログラムでの大失敗を乗り越えて、圧巻の演技を披露したフリープログラムは、いずれもスポーツの枠を超えて真に迫る光景でした。

物事がうまくいかなかった時の立派なふるまいとは



 もちろん、良い成績を残すことはアスリートにとって大切です。それが第一に評価を受け、称賛されるべきことがらなのは間違いありません。しかし、同時にアスリートが現役として最前線で活躍できる期間は限られています。競技を終えてからの人生の方が長いわけです。

 だとすれば、スポーツには輝かしい戦績を残す以上に大切なことがあるのではないだろうか?

 それがバンクーバーやソチで浅田真央が教えてくれたことだったように思うのです。

 物事が自分の思い通りにならなかったときにどう振る舞い、そしてそこからいかにして這い上がるか。浅田真央が立派なのは、16歳にしてグランプリファイナルを制したからではなく、その後の不本意な敗北や挫折を受け止め続けたからなのです。

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偉大な敗者たちのエピソード

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