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不妊治療ブームなのに、成功率は世界ワーストの日本。頼りすぎは危ない

――本には、黒田先生が考案した「人工卵管法」という、新しい体外受精法が紹介されていますが、どんな技術なんですか? 草薙:黒田先生のご説明では、人工卵管法とは卵管型の細い流路を作って、そこにハイグレードな精子をきちんと選んで、何匹か入れて、自然に泳がせて受精させる方法です。  顕微授精のように、人間があいまいな基準で一匹の精子を選んで、卵子に針で注入するのと比べて、人工卵管法はリスクが低いということです。精子が自力で競争して受精するわけですから。 ――それは黒田先生のクリニックに行かないとできない? 草薙:現在はそうかもしれませんが、今後、広げていこうと考えておられるようです。黒田先生自身が、今の生殖医療に疑問をもっていらっしゃるので。 ベビー服

リスクもきちんと説明するクリニックを選ぼう

――将来、不妊治療をするなら、どうやってクリニック選びをしたらいいんでしょうか? 草薙:まずは、クリニックが発表している「妊娠率」にまどわされないこと。妊娠率は各夫婦の事情で決まるので、クリニックの妊娠率が高くても関係ありません。  そしてリスクも含めてきちんと説明してくれるかどうか。「卵子凍結がいいですよ」、「顕微授精がいいですよ」などと言われたら、きちんとリスクも聞いてみてください。  やみくもに「生殖医療っていいですよ、安全ですよ、みんなやってますから」と、魔法のように言うクリニックが多いのです。そういったクリニックの場合は、色々と質問をして確かめてみることが大事だと思います。 ――本当に難しいですね。では、子どもが欲しかったら「いずれ不妊治療すればいいや」って思わないで、若いうちに自力で作ろうとしたほうがいいんでしょうか。 草薙:それは各自の選択ですよね。リスクのある生殖医療を使ってでも子どもが欲しいかどうかをまず考えること。知識がないと選択ができませんから、みなさんにはきちんとした知識を身につけて欲しいのです。 =========================  正直、私も将来的に子どもが欲しくなったとき、自然に授からなければ、安易に不妊治療に頼っていたかもしれません。今回の話を伺って、本当に知識不足、情報不足だったなと恐ろしくなりました。  命は一度誕生してしまえば後戻りができません。草薙さんと同じく、一人でも多くの女性が正しい知識を得られるようになって欲しいと思いました。 (※1)「第15回出生動向基本調査」国立社会保障・人口問題研究所、2015年 (※2)AMH=卵胞の周りの細胞から分泌される「抗ミュラー管ホルモン」の血中濃度を測ることで、卵巣に残っている卵子数を推測する 【草薙厚子さん】 ジャーナリスト、ノンフィクション作家。元法務省東京少年鑑別所法務教官。著書に『少年A矯正2500日全記録』『子どもが壊れる家』『本当は怖い不妊治療』などがある。 ―本当は怖い不妊治療 vol.3― <TEXT/庄司ライカ、女子SPA!編集部>
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