
ブルーボトル男子
一時はスタバが「意識高い系」が多くmacbookやiPadがないと入りにくいと言われていましたが、最近はブルーボトルコーヒーのようなサードウェーブ系の方が意識が高まっているようです。ドリンクもクリームが乗ったなんとかラテみたいな邪道なものはなくて、真摯にコーヒーと向き合わされるメニューです。
擬人化するとしたら、
コーヒーオタ風男子でしょうか。前にブルーボトルのイベントに行ったら、あまりのマニアックさに驚きました。コーヒーを抽出するときお湯は4回にわけて注ぎ、その時のグラム数や秒数まで細かく決まっています。
一湯目は外側から内側にらせんを描くように注ぎ、二湯目は中心から外側にらせんを描く。その間、お湯の圧や注水タイミングを測定。さらにドリッパーは樹木の毛細管現象を再現しており、ムラのない抽出ができるとか……。常人にはついていけない世界観です。
ヒゲにニット帽で世慣れた風に見えて、実はコーヒー一筋なブルーボトル男子。
とくに女性側に興味を持ってはくれなさそうなので物陰から見つめたいです。もしくはこちらもコーヒーオタになることで仲良くなれます。

ストリーマーコーヒー男子
おしゃれ地域で着実に支店が増えているストリーマーコーヒー。原宿店に行ったらトタンのような素材でできた無骨な小屋でしたが、それが妙なおしゃれ感と共に若干の威圧感を醸し出していました。
ストリーマー男子は強気なオラオラ系。自分の趣味やこだわりを女子に強いるところがあり、メニューにフードがほとんどないので、
エサを与えないことで女心を惹き付けます。ラテも600円台の品があったり、お金がかかります。もしかして都合のいい女と思われている? と不安にかられますが、味がおいしいので何も言えません。
カリスマオーラを放つストリーマー男子の周りには、彼を兄と慕う若い男子が取り巻いていて、なかなか近づけません。このまま急成長を続けていくのか将来を見守っていきたいです。
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以上、カフェを擬人化してみましたが、どの男子もそれぞれ魅力があり、毎週浮気してしまいそうです。現実の恋愛では貞操が固いけれど、カフェ男子に関しては奔放でビッチ、そんなメリハリのあるライフスタイルも良さそうです。
<TEXT/辛酸なめ子>
【辛酸なめ子 プロフィール】
東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著者は『
辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『
辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『
女子校育ち』(筑摩書房)など多数。