当時、とにかくモテにモテまくっていたKには女の影が絶えず、玄関先には手作り弁当が、クローゼットにはストッキングが、洗面所にはメイク落としが……という状況でした。

さらに、彼の名前をネットで検索すれば、「ヤリ捨てされた」と嘆く女たちの悪口や、「本命は私だ」と訴える女たちのバトルが繰り広げられる始末。
彼は「頭のおかしいファンの妄想だ」と言い張っていましたが、後に複数人との浮気が発覚し、結局お別れしたのでした。好きな人に裏切られるという悲しみは想像以上に辛かったのを思い出し、黙ったまま顔を歪める私。
しかしふと彼の顔を見ると、やっぱりイケメン!(単純です)
きっとの彼の子供は可愛いに違いない。それに、今は売れてないけど、俳優は遅咲きの人も多いし、西島秀俊や竹野内豊、佐藤浩市みたいに中年になっても渋い二枚目俳優として人気が出るかもしれない! そしたら私だって、「女遊びも芸の肥やしよね~」とか言っちゃって、“デキる嫁”みたいにワイドショーで称賛されたりして……もう私の妄想は止まりません。
こんな最高レベルのイケメンの遺伝子はなかなか出会えるものではないし、この際、過去の事はキレイさっぱり水に流して、やり直すのも手かもしれない……。
そう思い始めた時。
K「これからどうする? うち来る? それともどこかホテルとか行く?」
と再会して1時間も経ってないのにあっさりと言うK。

そう。彼にとってこの再会は「元カノとセックスを楽しむ」という目的だけで、そこに無駄な会話は必要なく、明るい未来なんてものも存在しなかったのです。まぁ元カノに連絡をしてくる男の魂胆なんてそんなもんですよね。
どうしてもイケメンに会うと思考回路がバカになってしまう私でした。
<TEXT/杉沢志乃>
【杉沢志乃(すぎさわしの)】
35歳。東京生まれ。ナンバーワンホステス時代に独学で行政書士試験に合格。25歳で小説『キャバクラ嬢行政書士の事件簿』(ゴマブックス)を出版し、翌年『キャバギョ!』でDVD化。現在は女性向け映像メーカー「
ラ・コビルナ」の代表取締役社長を務める。