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「戦争×ロマンスコメディ」が新鮮!な映画2選

 こんにちは。映画ライターの此花です。  先日公開された『ダンケルク』など、戦争にまつわる映画が最近多く公開されていますが、バイオレンスが苦手な女子はたくさんいると思います。  そこで今回は、戦争について考えさせられつつも、くすっと笑えるロマコメ映画を2本ご紹介します!

『オン・ザ・ミルキー・ロード』(9月15日 公開)

『オン・ザ・ミルキー・ロード』より_1

『オン・ザ・ミルキー・ロード』より

 戦争をしている架空の国を舞台にしたファンタジー。風変わりな男コスタ(エミール・クストリッツァ)は、いつも雨傘とハヤブサをお供にロバに乗って、ミルクを前線に配達しています。ある日、謎の美しい女性に一目ぼれ。その女性とはコスタを慕う隣家の娘ミレナ(スロボダ・ミチャロヴィッチ)がアフガニスタンに出征中の兄のために見つけてきた、謎の“花嫁”(モニカ・ベルッチ)でした。
『オン・ザ・ミルキー・ロード』より_2

『オン・ザ・ミルキー・ロード』より

 戦争が終わったのもつかの間、“花嫁”を狙う英国将校が軍隊を率いて村を襲撃。二人は命からがら逃げ出しますが、将校は彼らをどこまででも追い掛け回します……。  この愛の寓話にはたくさんの動物が登場。音楽にあわせて踊るハヤブサ、コスタを乗せて戦地を駆け回るロバ、ミルクが大好きな蛇、一日中鏡を見ている鶏など、童話に出てくるような動物たちですが、実はそこには「戦争に明け暮れる人間のほうが動物よりもずっと動物的だ」いうメッセージが潜んでおり、人間性を皮肉っているような気がします。
『オン・ザ・ミルキー・ロード』より_3

『オン・ザ・ミルキー・ロード』より

 80年代に大旋風を巻き起こした映画『フラッシュダンス』(1983年)の主題歌をかけながらレオタード姿でジャンプする元体操選手のミレナ、狂いっぱなしの大時計の歯車に巻き込まれて怪我をするミレナの母親など、登場人物が奇妙奇天烈で、物語は牧歌的な雰囲気から始まりますが、コスタと花嫁の逃避行にはらはらドキドキしっぱなし。
『オン・ザ・ミルキー・ロード』より_4

『オン・ザ・ミルキー・ロード』より

 戦争が終わってもコスタと花嫁は逃げ続けなければいけない……そんな展開が“戦争が決して終わらない現実世界”を示唆しているようにもとれます。そのくせ、物語に散りばめられた幻想的なシーンにうっとりとしたり、どたばたコメディにくすっと笑ったりしながら、コスタと花嫁の純真な愛に希望を感じることができます。
『オン・ザ・ミルキー・ロード』より_5

『オン・ザ・ミルキー・ロード』より

 3つの実話をつなぎ合わせて作ったという壮大なファンタジーですが、とても温かい作品に仕上がっています。エミール・クストリッツァ監督の息子であるストリボール・クストリッツァが全編にわたり手がけるバルカン・ミュージックも素晴らしくドラマチックな結末は圧巻!
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ホロコーストの歴史を背負う男女のオフビートなラブコメ
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