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北海道が誇る「ロイズ」ポテチにチョコがけはアリなのか?【カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」】

チョコがけチップスは、美味しいからやっかいだ

 人は、大失敗より「惜しい」方が悔しいものなのだ。つまり、ポテトチップス、チョコ、それを買った金に対し「惜しい」ことをしているのではないか。逆に言うと、チョコ、ポテト、金全てに申し訳が立たぬこと、顔向けできぬことをしでかしてしまっているような気がしてくるのだ。  だが、それだと「貴様は『皮と中身別々に食った方がよくね?』と思いながら餃子を食っているのか」という話になる。  そう思う人間もいるだろうが少数派だろう。チョコがけチップス分離論を主張するのは、餃子のように、すでに独立かつ完成している食い物をわざわざ解体、つまり原料に戻そうとしているのに他ならず、つまりチョコがけチップスをチョコ+チップスと考えるから別々に食った方が、という思想が生まれるのである。  ならば、最初から「チョコがけチップス」という一つの物であると考えるのが正しいのではないだろうか。  以上のように、味と言うより、自分があからさまに気持ち悪い人間になってしまうから避けているのかもしれない。  つまりチョコがけチップスに「別々に食った方が良くない?」というのは我々が忌み嫌っているクソリプである。

まさかと思ったが、本当に「とまらない」

 食う前の気持ち悪い話ですでに尺が足りなくなりつつあるが、「ROYCE’」の「ポテトチップチョコレート」食べてみたがやはり美味いのだ。  ギザギザの入った厚切りのポテトにチョコがたっぷりかかっている。チョコは言うまでもなく美味いし、ポテトも当然北海道産でおいしい。  そして、まさかと思ったが本当に「とまらない」。ポテトは厚切りでギザギザが入っているため、かかっているチョコの量も多い。正直チョコがけラスクぐらいの食いでがあるのに、1枚食べたらもう1枚食べてしまう。  ROYCE’がこのチョコレートチップスの販売を始めたのは2002年だそうだ。なんともう15周年である。  奇をてらっただけの商品なら0.5周年ぐらいで消えているはずだ。仮に私が竪穴式住居で、絶対別々に食った方が美味いと主張したところで、すでに多くのファンを獲得している定番商品なのである。  それに、ポテトチップスと生チョコ、チョコレートチップス、全部買うという手もある。せっかく北海道旅行に来たならそのぐらいやっても罰は当たらないだろう。  だがチョコレートチップスは1箱で、カップ焼きそば大盛りぐらいのカロリーがあるそうだ。全部買うのは良策だが、一日で全部食べるのは下策である。 <文・イラスト/カレー沢薫> 【カレー沢薫(かれーざわ・かおる)】 1982年生まれ。OL兼漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。自身2作目となる『アンモラル・カスタマイズZ』は、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。主な漫画作品に、『ヤリへん』『やわらかい。課長 起田総司』『ねこもくわない』『ナゾ野菜』、コラム集に『負ける技術』『もっと負ける技術 カレー沢薫の日常と退廃』『ブスの本懐』などがある
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