ネットの時代に、性教育が「カブトムシの交尾」でいいの?|性活コラム

AV男優・森林原人の性活コラム 第32回】

経験人数延べ9,000人、出演本数10,000本以上、下は18歳から上は69歳まで、性別の垣根を越えてさまざまなエッチを経験するAV男優・森林原人さんが、性にまつわるあれこれについて語ります。

 つい先日、小学生の子を持つママさんから衝撃的な話を聞きました。

 性教育の授業で使われる教材に関してなのですが、男性器や女性器は結構リアルに描写しているのに、どうやって生殖行為をするのかという説明になると、カブトムシのイラストになってしまうそうなんです。

カブトムシの交尾

※写真はイメージです

 以前、「ニッポンの性教育~セックスをどこまで教えるか」(中京テレビ、2013年)というドキュメンタリーで、ある女性の国会議員の方が行き過ぎた性教育を懸念して、「具体的なことを教えるという事は、あなたたちは避妊具さえはめればセックスしていいのよと言ってることと同じ」「子供時代というのは、蝶々が飛んでいる姿、お花が綺麗に咲く姿、昆虫が一生懸命歩く姿、それで十分命の尊さを学べる」といったことをおっしゃっていました。

 今使われている教材にどれくらい検閲や忖度(そんたく)が入っているかわかりませんが、少なからず本気でそう思っている大人がいるんだと驚きました。

ネットの時代に“カブトムシ”でいいの?



 子供の感性は昔も今も変わっていないかもしれません。ですが、周りの環境が劇的に変わっています。ネットがなかった時代とは違い、今の子供はあらゆることを簡単に調べ、目にすることができます。

 カブトムシのイラストになってしまったところをもっと詳しく知りたいとネットで調べれば、いろんな画像や動画が出てきます。チャイルドロックなどしっかり設定していれば大丈夫だと思いますが、子どもが家庭以外でネットに触れる可能性がないとは限りません。そこの大半を占めるAVの多くはファンタジーです。顔射が当たり前にあり、男の都合の良いように女性が感じてくれています。中にはリアルな性行為を描いたものもあり、コンドームを着けるところや男性が勃たない場面、女性が痛くて泣いてしまい途中で終わってしまうセックスや、幸せな気持ちになって涙が出てしまうセックスが映っていることもあります。ですが、割合としては1%もないでしょう。

タブレットで遊ぶ子供たち カブトムシのイラストを見て命の尊さがわかりそこで好奇心が止まる子、親の目を盗んでネットでたまたまファンタジー映像を見てそれがセックスの正解だと思う子、どちらが多いでしょうか。後者の子が実際にセックスするようになった時、ファンタジーと現実の違いに戸惑うわけですが、その原因はAVを見たことだけでしょうか。カブトムシにしてしまった判断にも、原因はあるのではないでしょうか。

人間のありのままの姿を伝えるのは悪いこと?



 性の話はデリケートなことだし、人それぞれ正解が違うし、だから何をどうやってどこまで話していいのか、伝えるべきかの判断は非常に難しいです。でも、セックスについて語るのを避ける現状は、核心から逃げているように思えてなりません。

 自分がどうやってつくられたかを知って、親を見る目が変わってもいいじゃないですか。それまでにしっかりとした親子関係が築けていれば、きっと一時的です。むしろ自立を促し、親への尊敬や感謝が深まるかもしれません。もしかして、欲情したり興奮したり乱れたりするのは人間のあるべき姿ではないと思っていますか? 自分のことを棚に上げて。

人間のありのままの姿を伝えるのは悪いこと? 子供の感性を信じるのなら、人間のありのままの姿を伝えた上で、どうするべきか自分で判断できるようにするというのではダメでしょうか。

 他国の様子を見ても、踏み込んだ性教育をしたからといって、初体験の年齢が劇的に早まるということはなさそうです。むしろ、望まぬ妊娠が減る可能性があります。そもそも、セックスをするのに親や先生の許可をどのくらい気にするものでしょうか。親がしていいのよと言ったからしようとなるものでも、先生がダメと言ったから絶対にしないわけでもありません。セックスは恋愛と密接に関わっているので、親や先生のコントロールが完全に及ぶものではないです。

 子供がAVを見れないようにゾーニングをもっとしっかりするとか、AVはファンタジーなんだと周知させていくとか、極端な考え方ならAVを無くせばいいんだとか、AVに関する意見や改善策があるのは知っています。そこの話も進めつつ、もう少し踏み込んだ性の話をしていかないと、日本人の現実世界での性の貧しさ、セックス離れは変わらないんじゃないでしょうか。

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◆森林原人

1979年生まれ。1999年にAV男優デビュー。出演本数1万本。経験人数9千人。セックスの虜になり道を踏み外したと思われているが、本人は生きる道を見つけられたとむしろ感謝している。著書に「イケるSEX」(扶桑社)他。性と向き合い、性を知り、性を楽しむためのサイト「リビドーリブ」とオンラインサロン「森林公園」を運営。
★Twitter(@AVmoribayashi

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