アラフォーからの年下男子との付き合い方ーペヤンヌマキ×安藤玉恵
自分よりひとまわりも若い15歳の美少女・ナオミをみそめて妻にするも、その美しさと奔放さに翻弄されて身を滅ぼしていく男・河合譲治の心情を描いた、谷崎潤一郎の小説『痴人の愛』(1947年、新潮社)。
その時代設定を現代にうつし、かつ男女逆転させたバージョンを、女性の醜くも可笑しい“ブス”な実態を描くことに定評がある演劇ユニット「ブス会*」主宰のペヤンヌマキさん(AV監督・劇作家)が、盟友の女優・安藤玉恵さんと舞台化。ペヤンヌマキ×安藤玉恵 生誕40周年記念ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』として12月8~19日、東京・こまばアゴラ劇場で上演されます。
「20代の頃はどちらかというとナオミに感情移入していたのに、40歳になったいま、ナオミよりも主人公の男に感情移入している自分がいた」
とペヤンヌマキさん。そんな彼女自身を投影した存在ともいえる、美少年・ナオミに翻弄される主人公の洋子(40歳)を、同い年で20年来の仲でもある安藤玉恵さんが演じます。
アラフォーから年下男子の魅力に目覚めたというペヤンヌさんと、年下男子に惹かれたことがないという安藤さん。対照的なお二人に、アラフォーからの年下男子との付き合い方について聞きました。
――ペヤンヌさんはアラフォーから年下男子に目覚めたそうですが、きっかけはなんだったんですか?
ペヤンヌマキ(以下、ペヤンヌ):基本的に年上好きで、これまで年下好きの気持ちがまったくわからなかったんですけど、30半ば頃からゲスなおじさんに辟易することがよくあって、おじさんとの飲み会の帰りに美しい物を欲して、家で羽生結弦君のDVDを観まくったりしていました(笑)。
――安藤さんは、年下の美しい男子を目の保養にするといったことは……。
安藤玉恵(以下、安藤):ないない。いっぱいご飯食べてほしい、元気でいてほしい、みたいなのはありますけど、愛でたい気持ちはないですね。俳優という仕事柄、美しい男性にも会う機会が多いですが、そういった男性を目の前にすると態度とか言葉の端々についアラを探しちゃうんです。「何かあるだろう」って意地悪な気持ちから(笑)。一つでも見つかると、人間っぽいなってうれしくなる。
ペヤンヌ:そういう意味で、私は人間っぽさは求めてないのかもしれない。美しいものは偶像であってほしい。眺めているだけで満足、みたいな。
――7月に上演されたリーディングで、ナオミ役の福本雄樹さんがシャツを脱いで背中を露わにするシーンがありましたが、見えているのは背中だけなのに、とてもエロチックで、ペヤンヌさんのフェティシズムを感じました(笑)。
ペヤンヌ:背中好きなんですよね。
安藤:そういうことが私、わからないんです。いろんなことに対する執着がゼロなんです。でも、ペヤンヌさんはいろんなことに執着するから、聞いていて面白い。
今回の『痴人の愛』もそうですけど、男性が出演するブス会*の作品にはペヤンヌさんの萌えが反映されてるよね。
ペヤンヌ:うん、自分が萌えるタイプの男の子を出しはじめたのは、『男たらし』(第4回ブス会*公演/2014年)に出演したイキウメ(という劇団所属)の大窪人衛君からだと思う。あの時はわりと高校生萌えだったんですよ。お父さんがプレイボーイで、その反動で童貞を守っている男子高生に萌えてて……。
安藤:だから、設定が細かすぎるんだよ(笑)! もう、共感するのが難しい。
――今回の萌えどころは?
ペヤンヌ:ナオミが純粋な少年から悪い男に変わっていくエロさ、ですかね。福本君は悪い男は地でいけるんで、問題は純粋な少年をどう演じるかですね(笑)。
40女にとって年下男子は偶像か、人間か



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