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大阪「551蓬莱」の豚まん&焼売が止まらない!/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」

カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.17 大阪名物「551蓬莱の豚まん&焼売」】 豚まん このコラムのために送られてくるテーマ食材は大別すると、到着時は「初見」「知ってる」「やったぜ」に分かれ、食った後は「全部美味い」という語彙が死んだデブみたいな感想に統一される。  今回は「やったぜ」に入る。見た時点で美味いとわかるからだ。  551蓬莱の豚まんと焼売である。

新大阪駅で何度も目にしていたのに

 ここで「肉まん」と書くと射殺されてしまい、話と私の人生が終わってしまうので注意が必要だ。  まず蓬莱とは、大阪を中心に展開する中華飲食店チェーンだ。そして、関西圏では肉というのは牛を指すため、豚を使った饅頭なら断じて「豚まん」なのである。  551蓬莱の豚まんを食べたことがなくても、新大阪駅などに、アイマスクとヘッドフォンスタイル以外で降り立ったことがある人なら「551蓬莱」の名は目にしたことがあるはずだ。551蓬莱の豚まんは人気の土産物なので、その赤い紙袋を下げた人がほぼ必ず歩いているからである。
豚まん

551蓬莱 公式HPより http://www.551horai.co.jp/menu/butaman.html

 ちなみに、蓬莱はウィキペディア情報によると、551蓬莱、蓬莱本館、蓬莱別館、という三社に分かれており、豚まんを販売しているのは551と本館だそうだ。  蓬莱と言えば豚まん、豚まんと言えば蓬莱である。それがないというなら、蓬莱別館は一体何を売っているというのか、まずそっちが気になったので調べてみたが、出てくるのは551、または本館の情報ばかり、もはや別館が存在しているのかも謎である、ネット情報の限界だ。  とりあえず別館は板金塗装を扱っているということにして、551蓬莱と豚まんの話に戻る。

今まで買えなかった深いわけ

 私も、父の帰省先である新潟は新大阪を経由するため、毎年駅で、551蓬莱の店舗を目にしていた。  そして見るたびに行列だった。その人気ぶりが伺える。だがそこで豚まんなどを買ったことがあるかというと、ない。  なぜならその後、特急列車に6時間ぐらい乗らなければならないからだ。豚まん、そして同じく蓬莱の人気商品であるシュウマイは確かに美味いのだが、匂い的に電車内等、不特定多数の人間がいる密室で食うには向かない。 「孤独のグルメ」でも、主人公、井之頭五郎が新幹線内でジェットという機能で暖めるシュウマイを作動させてしまい、車内はシュウマイ臭で騒然、「ジェットのせいで歯車がズレたか…」という稀代の名言をドロップしたのはあまりにも有名である。  ジェットほどではないにしても、手作りできたてがウリの蓬莱の豚まんを食べたら、結構な事態が予想される。なおかつ豚テロを行った後に、6時間そこに居なければならない、というのはもはや自爆テロに近い。  ちなみに私は重度の乗り物酔いだ。乗り物酔いをしない人にとっては酔うというのは揺れなどで起こっていると思われがちだが、レベルの高い乗り物酔いニストに取っては、車内の匂いも重要なファクターであり、プロになると座席の柄がキモかっただけで酔えるのだ。つまり私が豚まん臭を充満させることにより、誰かの旅路が地獄になる恐れがある。
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豚まんと焼売のお味は…感動的だった
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