工場直送!菊水堂「できたてポテトチップ」の衝撃/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」
【カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.18 菊水堂の「できたてポテトチップ」】
今回送られてきたものは「意外」だった。
すごく珍しいものや、明らかにワシントン条約に反したものが送られてきた、という意味ではない。
「ポテトチップス」が送られてきたのだ。それも「うすしお味」である。
正直「ポテトチップス」というのは、カルビーなど大手菓子メーカーの独壇場と思っていた。
それ以外が作るとしたら、前に紹介したロイズのチョコがけチップスのように、その地域の特産のジャガイモを使ったとか、そこでしか食べられない変わった味だとか、個性で勝負した、いわゆる「名産品」「土産物」的なものとして、だと思っていた。
しかしそれも、最近カルビーが「47都道府県ポテトチップス」と称して、全国のご当地チップスを作ってしまったばかりだ。中には「鳥取砂丘に見立てたコーヒー味」という鳥取県知事が49度の熱がある時に許可をとったのかな、と思わせる味もあったが、どれも良く出来ている。
ご当地ものですら、全国展開の会社が出しているようなポテトチップス界において、こともあろうか「うすしお」を出している大手以外の会社があるなど夢にも思わなかったのである。
そんな蛮勇とも言える商品が、今回のテーマ菊水堂の「できたてポテトチップ」である。
私が、総理大臣の名前はギリで言えるが漢字は書けないレベルの無知なだけで、テレビでも紹介されたことがある、かなり有名な会社のポテトチップスだそうだ。
そして、いきなりだが訂正がある。「うすしお味のポテトチップスを作っている」は誤りで「うすしお味のポテトチップスしか作ってない」が正しい。
赤福の会社が赤福しか作ってない、と言われてもそんなに驚かないが、一種類のチップスしか作ってない会社がある、というのはカルチャーショックである。
それ以外の商品も作っていたらしい記録はあるが、基本的にこの一点のようだ。
一袋が、スタンダードなスナック菓子サイズよりだいぶ大きく、価格は300円だ。
量からすれば決して高くはない。
しかしスーパーに行けば、78円ぐらいでポテトチップスが買える世の中である。それも一番どこでも売っている、うすしお味だ。
ただのチップスなら、個人商店が安価量販店に淘汰されるのが珍しくない現代において50年以上もチップス製造を続け、さらに今も人気、などということはありえない。
すごいチップスに違いない。そう思い、とりあえず食べてみることにした。
確かに美味い。
よく食べるポテトチップスより格段に芋の味がするし、塩味が薄めなのでそれが一層よくわかる。
しかし「これを食べたらもう他のチップスは食えない」「明日から主食にする」「仏壇に供える」「むしろ俺の墓に供えろ」など、オーバーなことは言えない。
他にまだ気づいていないすごい秘密があるのでは。そう思い、さらに食べ進めていった。
そして私はついにある事実に気づいた。

ポテトチップス界に大手以外の会社があるとは
うすしお味のポテトチップしか作ってない
菊水堂は昭和28年創業で昭和39年からポテトチップスの製造をはじめたそうだ。つまり、ゆうに50年はポテトチップスを作り続けている老舗である。 現在では使っているところはほぼないであろう、という昔ながらの小型フライヤーを使用しており、少量生産ゆえに、人間の目が行き届いた製造ができるという。 おそらく当時からそんなに変更していないのだろうな、と感じさせる、かつお節が入っていても不思議ではないくらいシンプルなパッケージに「ポテトチップ」と大きく書かれている。 この「ポテトチップ」のロゴは味がありすぎなので一見の価値ありだ。【1月12日】「1月12日以降発送」商品の出荷を完了しました。使用したじゃがいもは函館の近郊の山田さんのきたひめです!#できたて #ポテトチップ #函館 pic.twitter.com/zhMZURZGVb
— できたてポテトチップの菊水堂 (@kikusui_do) 2018年1月12日
すごいチップスに違いない。そう思い、とりあえず食べてみることにした
1
2