パンでも豆でもない菓子「パン豆」って知ってる?/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」
【カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.19 愛媛県西条市「ひなのや」のパン豆】
今回のテーマは「パン豆」だ。
この名前を聞いたらほとんどの人が、パンか豆を想像するだろう。それ以外の奴はひねくれすぎだ。もっと素直になった方が良い。
だが、今回はそんな通知表に「奇特」と書かれた異端児たちの大勝利だ。
パン豆は、パンでも豆でもない。
「米」だ。
そういう引っ掛け問題を出されるから、こっちは心が硬化していくのだ。
しかし、そんな凶暴性を秘めた「パン豆」であるが、その正体は実に懐かしいものである。
「ポン菓子」
そういわれれば田舎の中年以上世代はピンとくるのではないだろうか。米に圧力をかけ、膨らませた菓子である。
サクサクとしたシリアルに似た食感であり、味は砂糖味だ。大体、農協などがポン菓子を作る機械を持っているため、ポン菓子は地域のローカル祭などで良く売られていた。
私も子供の時たまに食べていたが、ポン菓子が子どものテンションをMAXにできる菓子かというと「エンジンがかからないこともない」ぐらいだったと思う。
つまり「あるなら食うよ」レベルである。チョコやポテトチップスがあるならそっちを食う。しかしあるなら食うよ、で食い続けていたら、なくなっている、そんな菓子である。
そんな「ポン菓子」だが、愛媛の一部地域では「パン豆」と呼ばれ昔から親しまれているそうだ。
パンはポンと同じく作るときの音を表しているのだろう。ただ「豆」については「そこは目をつぶる」しかなさそうだ。
どのくらい親しまれていたかと言うと、嫁入り道具と一緒にこのパン豆を持って行ったり、今でも引き出物などに使われているという。
私が結婚するとき、結納品として両親が用意したのは「現ナマ」だったので、実に雅な文化である。両親的にも愛媛式の方がありがたかっただろう。
今回、送られて来たのは愛媛県西条市「ひなのや」のパン豆だ。
決してテンションが上がる菓子ではない、と言ったがこのひなのやのパン豆は見た瞬間、かなり上がった。
まず私の知っているポン菓子は、ただのビニール袋に直に大量のポン菓子が入っているというストロングスタイルだ。当然分け入っても分け入っても砂糖味のポン菓子である。
しかし、ひなのやのパン豆はまずビニール袋に入っていない。小分けにパッケージングされたパン豆が何種類か箱に収まっている。貼られているシールのロゴもかわいい。

「あるなら食うよ」レベルの菓子、ポン菓子
愛媛の一部地域では「パン豆」と呼ばれ引き出物にも
「ひなのや」のパン豆は見た瞬間、テンションが上がった
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