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パンでも豆でもない菓子「パン豆」って知ってる?/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」

「いろんな味を少しづつ食べたい」というしゃらくさい精神を満たしてくれるつくりだ

 だが、大量の砂糖味ポン菓子がただオシャレに小分けにされたというだけなら、そこまで嬉しくない。なんでも「カワイイ」という女ですらそこまで単純じゃないし、そういうタイプはビニール袋詰めポン菓子にも「カワイイ」と言う。  全部味が違うのだ。  それも、チョコレートやキャラメルなど直球に上がる味から、甘塩や、同じく愛媛名物の伊予柑を使ったパン豆など、珍しい味まで多彩である。
 ひとつひとつの量はそんなに多くない。 「いろんな味を少しづつ食べたい」というしゃらくさい精神を満たしてくれるつくりだ。  どの味もおいしかったが、特にチョコレートや、苺チョコ味がおいしかった。

やはりポン菓子にはチョコをかけるべき

 もし子ども時代のポン菓子がこのスタイルだったら「あったら食う」のレベルではなかったと思う。「(他の誰かに)食われる前に食う」という「とるかとられるか」みたいなポジションだったに違いない。  むしろ、他の地域も、ポン菓子にチョコかけたらどうか、と思う。  今でも田舎の祭などで作られていると思うが、絶対チョコをかけたほうが子どもは喜ぶし、売れると思う。 「パクリ」という声も聞こえるが、子どもの笑顔のためならやむなしだ。  この「ひなのや」であるが、創業が2010年と相当若い会社である。パッケージなどのデザインがレトロ調でありながらオシャレなのも頷ける。
 HPに行くと時節柄「バレンタイン用パン豆」の販売がされていた。  それも「アーモンドプラリネパン豆」という、本格的な一品であり、すでに売り切れだった。食べることは出来ないが、確実に美味いだろう。  やはりポン菓子にはチョコをかけるべき。それだけは声を大にして言いたい。 <文・イラスト/カレー沢薫> 【カレー沢薫(かれーざわ・かおる)】 1982年生まれ。OL兼漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。自身2作目となる『アンモラル・カスタマイズZ』は、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。主な漫画作品に、『ヤリへん』『やわらかい。課長 起田総司』『ねこもくわない』『ナゾ野菜』、コラム集に『負ける技術』『もっと負ける技術 カレー沢薫の日常と退廃』『ブスの本懐』などがある
カレー沢薫
かれーざわ・かおる 1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。主な漫画作品に、『ヤリへん』『やわらかい。課長 起田総司』、コラム集に『負ける技術』『ブスの本懐』『やらない理由』などがある
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