留学先のウィーンの病院で発達障害と診断された時、あすかさんとご両親の気持ちは正反対だったといいます。
「私はほっとしたけれど、家族が沈んでいたので、ほっとしたことをバレないようにしました。みんなよりできないことがあるのは自分ではわかっていたから、お父さんとお母さんに心配かけないように、毎日一生懸命笑って。知らないところで一生懸命努力していたけれど、できなくて。
だから障害があるって言われて、私の努力が足りなかったからみんなに追いつけなかったわけじゃないってわかって、とてもほっとしました」(あすかさん)
安堵を感じたというあすかさんとは逆に、ご両親は落胆したとのことです。
「私たち夫婦はどん底に落とされたような気がしました。『生まれつきの脳障害』であるということで治らない、一生抱えていかなければならないので、当時はどうしていいのかわからなかったのです。この子が1人になった時にどうやって生きていくんだろうかとか。私たちがやらなきゃいけない事は何なのかって思い、やはり落ち込みました」(恭子さん)
親子の強い絆で数々の困難を克服してきたあすかさん親子。あすかさんは2015年にはCD付き書籍『
発達障害のピアニストからの手紙』を、昨年には『
心がホッとするCDブック』(いずれもアスコム刊)を出版。これまでの思いを綴っています。
そして2018年3月21日からは
全国のツアーもスタートします。是非、その魂の旋律に耳を傾けてみてください。
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知られざる「女性の発達障害」 vol.5―
<TEXT/ジャーナリスト・草薙厚子>