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障がい者女性が「風俗」で働くことを選んだ意外な理由

 筆跡アナリストでカウンセラーの関由佳です。ある仕事で出会った、先天性の脳性まひで車いす生活をしている障がい者の女性・まゆみさん(35歳)から「デリバリーヘルスで働くことにした」と突然驚きの連絡がありました。
まゆみさん

まゆみさん

 なぜあまたある仕事の中から“風俗嬢”という職業を選んだのか、直接本人に話を聞いてみることにしました。

提供する側も受ける側も障がい者。これぞ真のバリアフリー

   デリヘルで働き始めるまゆみさんは、生まれつき脳性まひという障がいを持ち、生活の中で車いすが手放せません。 「手足が上手に動かしにくいです。今は1人暮らしですが、細かいことはヘルパーさんがいないとやっぱり難しいですね」(まゆみさん、以下同じ)  そんなまゆみさんを雇うには、お店側にもちゃんとした受け入れ態勢がないといけないのでは? と思いましたが、聞いて納得、まゆみさんの所属する店は“障がい者専門”のデリバリーヘルスでした。とはいえ、“サービスを提供する側が障がい者”というのは、お店にとっても初の試みなのだそう。 「デリヘルの仕事は自力でやろうと思って応募しました。社長も“提供する側だって障がいがあってもいいよね”という考えで、これこそが真のバリアフリーだと共感しました。障がいはあるけれど、やり方は必ずあるはず。一度しかない人生だし、自分の思うように生きてみようと決意しました。

偏見のない母と、性に対するトラウマ

 風俗などのセックスワークに就くことは、やはり多少躊躇する女性の方が多いはず。しかしまゆみさんは不思議なくらいポジティブに取り組もうとしています。それには、彼女の母親の考えが影響しているそう。 「亡くなった母が良くも悪くもピュアな人で、何事にも差別や偏見を持たなかったので、セックスワークをする女性に対してもとても寛容でした。まさか娘がその職業に就くとは思っていなかったと思いますが、母の言うように“男性の欲望を受け止めているのだから、もっと感謝されるべき”という感覚が小さいころから根付いていて、物心のついたときには性の仕事に興味がありました
※写真はイメージです

※写真はイメージです

 でも、偏見がないからといって性の仕事をあえてする必然性はないような……。そんな疑問を抱きつつ話を聞いていくと、彼女をその道に強く駆り立てた要因のひとつに、性に対するトラウマがありました。 「プライベートでのセックスで、いい経験が全くないんです。最初の男性は、初めて私に好意を打ち明けてくれた人でしたが、私は好きにはなれませんでした。でも“もう二度と私を好きだと言ってくれる人なんて現れないのでは”と考えてしまい、付き合うことに。そしてついにエッチを試みましたが、やはり気持ちがないので体が拒否してしまい、うまくいきませんでした……」  さらに2人目の男性は、相手に対して恋心はあったものの、男性の経験不足からセックスがうまくできなかったそう。しかも彼に“体目当てだった”と言われてしまい、恋愛としても失敗に終わることに。 「結果として悲しい思いをしましたが、セックスできなかった、自分の体で相手を気持ちよくさせてあげられなかったということが私の中でとても深い傷として残っていました。でもそれから“いいセックスを知ってみたい”と、より性に対して興味が増しました」
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“誰かを必要とする人生”から“誰かに必要とされる人生”に
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