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ニセモノが繋ぐホンモノの絆。ドラマ「anone」第2~4話レビュー

「anone」のセリフを読み解く 第2~4話】

「anone」公式サイトより

「anone」公式サイトより https://www.ntv.co.jp/anone/

ニセモノが繋ぐホンモノの絆―ハリカと亜乃音の擬似母娘関係



 第1話で、ハリカ(広瀬すず)の捏造された思い出や、偽札というキーアイテムを通して、“ニセモノ”つまり“虚構”が人と人を繋ぐ力になることを暗示していた『anone』。第2話以降、その主題はよりはっきりと物語の中で表現されていく。

 チャットアプリで交流するカノン(清水尋也)の病気を治すために大金が欲しい辻沢ハリカ(広瀬すず)は、札束が偽札であることをネタに揺すりをかけようと、林田亜乃音(田中裕子)のもとを訪れる。偽札は触った感触でわかるというハリカの言葉が印象的だ。

「持ったこの一瞬の指先で、あ、違うってわかるんだよ。暗いところで、知らない人の手を繋いでしまったみたいなんです」

 しかし、ハリカが床下から偶然見つけたデジカメに、1年前に亡くなった亜乃音の夫・京介(木場勝己)と、15年前に19歳で失踪したはずの娘・玲(江口のりこ)が仲良く並ぶ写真が映っていたことで、話の風向きはガラリと変わる。ずっと探していた娘が、最近まで夫とこっそり会っていたことに、ショックを隠せない亜乃音。

 最初、テーブルに向かい合っていたときは、揺すり/揺すられの敵対関係だった2人が、玲の手がかりを探しに行きつけのラーメン屋に行き、カウンターに並んで同じものを食べることで、いつしか友好的になっているのは象徴的だ。

 その晩、家に泊まらせてもらったハリカは、亜乃音の口から、玲が実の娘ではないことを明かされる。彼女は、十数年間、母娘として過ごしてきた歳月を、不意に現れた実母によってあっさり奪われてしまったという。

「生まれたときからずっと繋いでた手の感触が変わっちゃう。知らない人の手を繋いだみたいになっちゃう」

 先ほどの偽札についてのハリカの台詞は、皮肉にも、血が繋がっていないというだけで、積み上げてきた母娘関係を“ニセモノ”であるかのように否定されてしまった亜乃音の悲しみに、転用されていく。

 だが同時に、亜乃音とハリカの間に、擬似的な母娘関係が生まれつつあることを、視聴者は感じ取るだろう。しかも、そのゆるやかな絆は、偽札を印刷し、切り刻んで燃やし、灰をトイレに流すという共犯関係によっていっそう強いものとなる。

 第1話に続いて、またしても“ニセモノ”を介して他者と他者は結びついたのだ。

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「タマが出ない」拳銃を振りかざす男たち

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