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老いた動物と暮らす――あとで後悔しない過ごし方|ペットロス Vol.12

16歳の愛犬を亡くした心理カウンセラーが考えるペットロス Vol.12>  16年一緒に暮らしたゴールデン・レトリーバー「ケフィ」を、2017年4月に亡くした木附千晶さん(心理カウンセラー)。ケフィはメニエール病などと闘い、最後は肝臓がんで亡くなりました。前後して3匹の猫も亡くし、木附さんは深刻なペットロスに陥ります。自分の体験を、心理カウンセラーとして見つめ、ペットロスを考えます。 ===================== 「老いた動物と暮らすのは幸せなこと」  かつて私は、自分のブログにそんな言葉をつづっていました。ケフィがメニエール病で倒れるより、かなり前のことです。そのブログは、こんなふうに続いていました。
バスタオルにくるまれたケフィ

バスタオルにくるまれたケフィ

「それは心配事がひとつ、またひとつと増えることであるし、以前はしなくてもよかった苦労や世話が増えていくということ。  いつか終わりが来る明日を意識し、今日の幸せは永遠には続かないことを受け入れる準備をすること。  そして、そんなふうに心配したり、世話をしたり、愛おしいと思えるほど大切な存在がずっと自分のそばにいてくれたありがたさに気がつくことだ。 『たくさんの幸せを与えてくれている』存在を日々実感できるということは、ほんとうにほんとうに幸せなことだと思う」  なんて聞き分けのいい、良い飼い主然としたセリフでしょうか。我ながらびっくりです。

実際には悪あがきばかりしていた

 確かに私は、ケフィが特発性メニエール病を克服したとき、ケフィとの「ありきたりの毎日」が、実は「有り難い毎日」であることを実感しました。  ケフィがいるだけでたくさんの幸せをもらっていることも身にしみて分かりました。 「できなくなったことではなく、『今できること』に目を向けて、ケフィと一緒に歩いて行こう」と誓ったことも、嘘ではありません。  でも、「老いていく動物との暮らしを心から『幸せ』と感じられていたか」と、改めて問われたら……今はちょっと自信がありません。実際には、愛する者が老いていくことを受け入れられず、悪あがきしていた思い出ばかりです。
海のケフィ

メニエール病を克服した翌年、小豆島旅行にいった(2015年)

 ケフィの老化を少しでも遅らせようと、全身の筋肉を使うと聞いた緩やかな坂をジグザグに上り下りする運動や、後ろ足にいいという障害物をまたぐ動き、首から背中を使うひっぱりっこなど、いろいろな運動を片端からやってみました。  シニア犬の体調管理や健康増進について書かれた本を片手に、ストレッチやマッサージをし、犬用酵素などサプリメントも次々と試しました。 「刺激のない生活だと老化が早まる」と聞き、休みのたびにできるだけケフィが大好きな遊歩道や水辺のある自然の中へと連れ出しました。 「まだまだ大丈夫。やれることはこんなにいっぱいあるんだから」と、自分に言い聞かせながら。 「できなくなったこと」を直視することは、ケフィが回復したことでせっかく棚上げにできた「ケフィを永遠に失う日が来ることを受け入れる」という課題に直面することにつながります。それだけは避けなければならない、どうしても認めることができない事態でした。
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愛するものを失ったとき、罪の意識を感じる
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●少人数の「ペットロス」セミナーを行います。

日時:4月14日(土)13時30分~16時45分(開場は13時15分)
参加費:5400円(税・お茶代含む)
ファシリテーター:木附千晶
場所:東京都港区東麻布3-7-3 カウンセリングルーム「IFF」相談室内
問い合わせ・申し込み:TEL03-5561-9365
http://www.iff.co.jp/event/2018/180414_petloss/application.html
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