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斎藤工は自称“セクシー俳優枠”から、映画監督として大成するか?

 絶大な人気を誇る俳優・斎藤工が監督した長編映画『blank13』が、全国で順次公開中です。いままでに短編映画は6本も監督していると聞くと、意外に感じるかも。

『blank13』ビジュアルパンフレット 表紙A

『blank13』ビジュアルパンフレット 表紙Aはレスリー・キーが撮影。上映劇場で買える

 でも彼は今も昔も変わらない無類の映画好きなのです。一歳の時に初めて観た『E.T』では、映画館の暗闇が怖くて大泣きして家族で劇場を出たというエピソードがあるなど、彼は幼い頃から映画の虜になる環境に置かれていました。

高橋一生とタッグを組んだ『blank13』の“地味さ”


 公開中の『blank13』は、同年代の高橋一生が主役を務め、人気俳優2人がタックを組んだ作品。放送作家・はしもとこうじの実話をもとにした“父親の葬式”の映画で、意外に地味で驚いた人もいるでしょう。

(C)2017「blank13」製作委員会

(C)2017「blank13」製作委員会

 ギャンブルに溺れて失踪した父親(リリー・フランキー)が、13年ぶりに余命3ケ月の状態で見つかるも、家族と溝が埋まらないまま死んでしまいます。その葬式で、コウジ(高橋一生)が父の友人たちから聞いた、父の姿とは――。

 辛口で知られる映画評論家の前田有一氏は、斎藤工の監督としての志の高さを次のように評価しています。

「社会の底辺で生きる人たちを描こうとする志がいいですね。スポットライトが当たっている人気俳優なのだから、もっと派手かと思いましたが、予想外でした。

 映画好きの少年がメガホンを取った小栗旬の作品(『シュアリー・サムデイ』2010年)に比べて、斎藤の映画はずっと大人っぽい。方向性は本格志向です」

 その一方でネットでは、画面が暗いという感想が目立ちます。

「たしかに、技術的な疑問は多く残る作品です。彼が影響を受けた70年代ATG映画を感じさせますが、過去の回想から現代に戻ったときに、映像を凝る必要はなかったのではと思いますね。

 でも気取ったカンヌ映画祭より、ゆうばり映画祭で受賞を狙う作品にふさわしい(※)。将来、斎藤は監督として大化けするかもしれません」(前田氏)

 ※2017年「ゆうばりファンタランド大賞」(観客賞)の作品賞を受賞


人の映画をどうこう言ってる自分に違和感が…


 斎藤工の父親は、映画制作会社「東北新社」に勤務し、藤田敏八監督の「修羅雪姫」(73年)のサード助監督も務めた人。その父親の影響で、小学校の頃から週三回映画館に通い、高校時代のバイト代を全て映画につぎ込んで、近所のレンタルビデオ店の棚の端から全部観たという逸話はあまりにも有名です。

 高校卒業後は映画の専門学校に進学するつもりだったそうです。

 ところが父親から「映画は机上で作るものではない。一刻も早く現場に出る方法を考えろ」と叱咤されて選んだのが俳優。「竜馬暗殺」(74年黒木和雄監督)の主演・原田芳雄に魅了されたからというのも、映画好きが高じたからでしょう。

 俳優として実力を培いながら、昔夢見た映画監督をいつかやってみたいという漠とした目標が現実味を帯びたのは、2011年WOWOWの映画紹介番組にパーソナリティーとして出演するようになってから。

「人の映画のよし悪しを言っている自分が凄くフェアじゃないとずっと思っていて。現場を知りながら映画をただ観ている自分への違和感。これは自分自身が批判される側にならないと、僕なんか人様の映画をどうこう言ってはいけないんじゃないかなと思ったんです」(キネマ旬報2018年2月1日号)。

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“セクシー俳優枠”と自嘲する斎藤工の胸のうち

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