そんなときに監督の話が舞い込みました。原案、美術、衣装を手がけ、自身も出演した短編「サクライロ」(12年)に続き、2年後の「半分ノ世界」で国際エミー賞デジタル部門にノミネートされるなど、海外からも高い評価を受けます。
2014年には福山雅治が自分のラジオ番組に斎藤を呼んで、「僕が出資するから君はもっと世界に羽ばたくべき」とエールを送ったそうです。(週刊現代2015年6月27日号)。
今回の初長編作『blank13』は好評のよう。では監督としてブレイクしたら、俳優業をやめるつもりでしょうか。それはファンとして寂しいですね。
でも俳優と監督の両立は、本人にとっても意味があることのようです。
「俳優が監督することについては、
世間からの風当たりは強め。でも、それがいい意味での緊張感になっています。
そもそも僕には、
クリエイティビィティがあんまり求められていないんだと思う。壁ドンする役とか、セクシー俳優枠みたいに見られていることが多い。
でもほかに特徴がないからこういうことになっているわけで、監督業はそんな自分を奮い立たたせる材料になればいいかな、と思って」(婦人公論・2018年2月27日号)
本人は“セクシー俳優枠”と謙遜(?)しますが、前出の前田氏はこう評します。
「公開したばかりの『去年の冬、きみと別れ』の天才カメラマン役が、はまっていました。非凡な人間を演じる才能は、斎藤の真骨頂でしょう」
個性的な役柄で、新境地をどんどん開拓していってもらうことも、大いに期待したいです。
<TEXT/夏目かをる>