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夫の不倫を許そうとした妻「だけど、身体が悲鳴を上げた」

我慢に我慢を重ねた妻の身体に、次々と異変が



 いったんは納得し、さらに夫婦の間に新鮮さも戻ったかのように感じられた。

「日常生活はけっこう忙しいじゃないですか。私も自宅で少し仕事をしていたし、娘の習いごとの送迎などもあって、夫への信頼感を取り戻したと思い込んでいた。今、ふりかえると、家庭を円満に調えなければいけないと自分を抑制していたんでしょうね」

円満に見える夫婦 やり直そうと決めてからは、娘が習いごとでいない週末の昼間、ふたりでデートすることもあった。夏と冬の家族旅行も少し長めにとった。

「夫婦だから夜の営みもしましたよ。最初はイヤだったけど、応じないとまた浮気されるかもしれないという恐怖感もあって。私自身は感じなかったけど、精一杯、感じたフリはしていました

 夫も自分に気を遣ってくれているのがわかるから、ヒロコさんもがんばった。笑顔を向けているうちに、その笑顔が本物なのだと自分で思えるようになっていった。

 ところが2年ほどたったころ、彼女は突然、体調を崩した。

「まず、帯状疱疹になったんです。我慢したために病院に行ったときには悪化していて即入院。それがようやくよくなったら急性胃腸炎、その後は卵巣嚢腫の悪化、さらに突然の失声症と数々の病気に襲われました。最終的には主治医が『全部、ストレスがらみですねえ』って。

 そう言われて初めて、ぶわっと涙が出てきました。私、夫の浮気がわかったときも涙ひとつ流さなかったんです。ああ、私はあのときものすごくショックを受けていて、それをきちんと受け止めないままに理解したふりをして“いい妻”を演じていたんだとよくわかった。だから夫に、『がんばったけど、やっぱり無理だわ』と」

 次々と体調不良に苦しむ妻を見てきた夫も、「わかった。ごめん」と言った。そのときの夫の顔がどこかほっとしたように見えたとヒロコさんは言う。

身体の悲鳴「お互いに我慢していたのかもしれません」

 浮気のことは伏せたが、娘にはおとうさんとおかあさんは一緒に暮らすのがむずかしくなったと告げた。離婚はするけど、親子関係は変わらないと。

 分譲マンションや家財道具などをすべて処分。夫が新たに購入した2DKのマンションでヒロコさんは娘と暮らす。離婚直後は精神的に不安定になった娘だが、今は近くのアパートに住む父のところにも自由に行っている。3人で食事に行くことも少なくない。

 ヒロコさんは本格的に仕事を始めた。

「離婚したら気が楽になって、今は夫とはいい友だちという感じです。経済的には余裕がないけどあらゆるストレスから解放されました。今はこの形が、私たちにとってベストだと思っています。自分でも気づかない我慢を重ねてきたんだと実感しました」

 この先、ヒロコさんと元夫がどうなるのかはわからない。ふたりとも新たに恋をすることもあるかもしれない。それでも娘がいる限り、協力しあおうと話しているそうだ。その話し合いは「我慢をともなわず、本音で話せたと思っています」とのことだった。 

――不倫発覚、その後。Vol.2――

<TEXT/亀山早苗>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

亀山早苗
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数
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