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不倫夫に「ぶっ殺してやる」と叫び流血騒ぎに。それでも夫婦はやり直せるか?

<不倫発覚、その後。――Vol.3>  不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんがレポートする、不倫発覚後の“夫婦の行方”。(以下、亀山さんの寄稿)
無言電話

写真はイメージです(以下同じ)

不倫相手から、毎日の無言電話

 夫の不倫が発覚したあと、話し合ってもう一度やり直そうと決めた夫婦がいる。リカさん(36歳)とタイチさん(38歳)だ。結婚して6年たった2年前、家に毎日、無言電話がかかってくるようになった。7日目にタイチさんが深夜、電話をとり、こそこそ話してすぐ切ったのを見て、リカさんは夫の不倫を確信した。 「当時、5歳と3歳だった子どもたちが電話に怯えるようになっていたので、夫を問い詰めると『たった1度の関係なのに別れてくれない』と涙目で訴えたんです。相手の女性がしつこいので逃げの一手でいたら家にまで電話が来ることになって申し訳ない、と。不倫がどうのこうのというより、自分がしたことの始末もできないのかと腹が立ちました。もともと気弱で優しいところがある夫だけど、そのときはただの情けない男に見えました」  リカさんは夫から相手の女性の連絡先を聞き、直接会って話をつけた。相手は独身だったので、「あなたも親や会社に知られたくないでしょう」と穏やかに脅したという。 話し合い「あちらは『奥さんにバラす』というのが脅し文句だったらしいので、『私は事実を知りました、あなたは親や会社にバレてもいいのですか』と尋ねただけです。脅したわけじゃありません。私はあなたを訴えることもできるのよ、とは言いましたが(笑)」  彼女は手を引くと言い、リカさんは一筆とった。一部始終を夫に報告、夫からも「金輪際、浮気はしません」と念書を書かせた。泣きながら詫びる夫に、「もうこの話はすべて水に流して、改めて家族としてやり直そう」と話した。多少はぎくしゃくしたが、半年もすると夫婦の間に会話も夫婦生活も戻ってきた。

ある日突然、何もかもイヤになって……

 ところがさらに数ヶ月たったとき、リカさんは突然、何もかもがイヤになった。体調も不良で、頭痛や息苦しさに悩まされる。そしてある日、子どもたちが近くに住むリカさんの実家に泊まりに行った晩、帰宅した夫の顔を見たとたん、彼女の後頭部でブチッと音がしたワイン「キレるときって本当にブチッて音がするんですね。私はダイニングの椅子を次々持ち上げて夫にぶつけ、さらに夫が大事に使っているパソコンをテレビに投げつけました。実は覚えていないんです。ふっと気づいたら、パソコンもテレビも壊れていてそのへんにワインの瓶が散乱、ワインの池の中に座り込んでいました」  ビビった夫は他の部屋に逃げ込み、静かになったころそっと顔を覗かせた。その顔にまた、彼女はワインの瓶を投げつけたという。買ったばかりのマンションの真っ白い壁が赤く染まった。 「夫によれば、『ふざけんなよ』『ぶっ殺してやる』と、物騒な言葉を叫びながら暴れまくったようです。何かが当たったんでしょう、夫は頭から血を流していました。それを見て、ようやく我に返りました。私は何をしているんだろう、と」  気づかないうちに、彼女は我慢を重ねていたのだろう。その日は子どもたちがいなかったから、それまでのすべてのストレスが一気に噴き出したのかもしれない。 「私は自分で納得して、改めて夫婦としてやり直そうと決めたはずなのに、気持ちと体は納得していなかったんでしょうね。次の日にすぐ近くの病院の精神科に行き、臨床心理士を紹介してもらいました。それから数回カウンセリングにかかって、自分がどれだけ我慢していたかわかったんです」
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「私はまだ、あなたを許していない」と夫に話したら……
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