夫はそれからもごく普通に生活している。早く帰ってきたときは、子どもたちとわいわいにぎやかに遊んでもいた。マキさんにも自然に話しかけてくる。

「5日ほどたったとき、ついに我慢できなくなって、『
浮気してるんでしょ、してるならしてると白状しなさいよ』と詰め寄ったんです。
すると夫はがばっと土下座して、『誤解させたのは謝る。でも何もしてない』と。よほど携帯の証拠を見せつけてやろうかと思いましたが、黙って見たのが負い目になっていたので、それもできなくて……。『
もう心配させないから、本当にごめん』と言われて、結局、うやむやになってしまったんです」
夫はその晩、マキさんを抱き寄せようとしたが、彼女は断固として拒否。それ以来、セックスレスのままだ。ひょっとしたら、今も夫と彼女の関係が続いているかもしれないという疑惑も抱いている。
「それでも、夫と子どもたちが笑っているのを見ると、
この関係を壊すわけにはいかないとも思うんです。私はもう生理的に夫を受けつけられないかもしれないけど、家族としての形は大事にしたい」

彼女自身、心の底から夫が憎いわけではないという気持ちが伝わってくる。夫が浮気を認めないことでジレンマを抱えているが、実際白状されたらショックは増すとマキさんもわかってはいる。
「全部さらして話し合って、もう一度やり直そうとするほうが正しいのかなと思いますが、そこまでの気力体力が夫にも私にもないかもしれない。とりあえず
今は波乱を起こさない道を選ぶしかないのかもしれません」
我慢は決して美徳ではない。
私さえ我慢すればいい……という気持ちはのちのち大きな怒りと恨みになるかもしれない。だが彼女はそれもわかった上で、「今はこの道を選択」しようとしている。同じ我慢でも、昔の女性の我慢とは少し意味合いが違うのかもしれない。
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不倫発覚、その後。Vol.1――
<TEXT/亀山早苗>
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【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『
復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数