Vol.1 男が離婚を決める時。共働き・子なし夫婦は「全く顔を合わせなくなって…」
夫になれなくても、父にはなれる?
希望というのは、現在の三浦さんにとっての希望という意味だ。そうでなければ、20代の三浦さんは絵里さんとの間に子供を設けたはずである。三浦さんは昨年、36歳の時に再婚した。子供はまだいないが、欲しいという。意地悪く、でも性欲がないのでは? とつついてみた。
「子供が欲しいという明確な目的があれば、セックスはできます。それに、この年になれば儀礼的・儀式的なセックスにも耐えられる(笑)。20代の僕にそれは無理でした」
三浦さんは、こんなことも口走った。
「離婚してる人で多いケースだと思うんですけど、20代で結婚して子供を作らないないまま5年くらい経つと、離婚する可能性はすごく高まりますよ。なんなら五分五分くらいじゃないかな」
子はかすがい。離婚ストッパーたる子供がいなくても夫婦が夫婦として維持されるためには、互いにある程度の人間的成熟が必要というのが三浦さんの主張である。やはり彼の考える離婚の理由は「若すぎた」なのだ。
「20代の頃、“我は夫である”という意識はまるでありませんでしたが、今はあります。理由? 妻がいま仕事をしてなくて、実質的に専業主婦なんですよ。だから、僕が頑張らないと」
2度目の結婚で、ようやく“夫”になれた三浦さんは、どこか誇らしげだった。
※本連載が2019年11月に角川新書『ぼくたちの離婚』として書籍化!書籍にはウェブ版にないエピソードのほか、メンヘラ妻に苦しめれた男性2人の“地獄対談”も収録されています。男性13人の離婚のカタチから、2010年代の結婚が見えてくる――。
<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。映画配給会社、出版社を経て2013年よりフリーランス。著書に『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)、『オトメゴコロスタディーズ』(サイゾー)『ぼくたちの離婚』(角川新書)、コミック『ぼくたちの離婚1~2』(漫画:雨群、集英社)(漫画:雨群、集英社)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)がある。【WEB】inadatoyoshi.com 【Twitter】@Yutaka_Kasuga


