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木村多江が怖~い。不倫ドラマ『あな家』の粘着女、現実にもいる

亀山早苗の不倫時評――『あなたには帰る家がある』の巻 vol.1>

「木村多江の演技がゾッとする」と話題のTBS金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』(金曜、夜10時)。夫婦二組の不倫を描いた本作を、不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

あなたには帰る家がある

TBS『あなたには帰る家がある』公式サイトより http://www.tbs.co.jp/anaie/

わかりやすく対称的な4人の男女


 今期話題の不倫ドラマ『あなたには帰る家がある』は、登場人物のキャラクターが非常にわかりやすく、登場人物「それぞれの思い」「それぞれの正義」が見事に描かれている。

 物語は二組の夫婦がシンクロするところから始まる。佐藤秀明(玉木宏)・真弓(中谷美紀)夫妻は、ひとり娘がいる核家族。夫は住宅メーカーに勤めているが営業成績はイマイチ、性格的には温厚だが「ビビリ」。妻は娘が私立中学に上がったのを機に、旅行会社に職場復帰する。強気で元気な女性である。

 一方の茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)・綾子(木村多江)夫妻は、ひとり息子がいる三世代家族。夫は学校の先生で、自分の価値観にかなりの自信をもっている。妻は専業主婦。家族のために自分を犠牲にして生き、夫に敬語を使う、ある種今どき珍しい女性だ。

 秀明が家の建て替えを依頼されて茄子田家に出向くようになり、綾子と関係をもってしまう。一方、真弓は修学旅行の案件で、教師である太郎と知り合う。二組の家族はバーベキューをするが、その裏で密かに秀明と綾子の関係は続く。


薄幸の女王、木村多江の演技がそら恐ろしい


 夫の様子がおかしいと気づき、真弓(中谷)は秀明(玉木)を問い詰める。すでにいつバレるかとビビっていた秀明は、あっさり綾子との関係を認めるが、妻の苦悩はそこから始まっていく。

 まずは茄子田家に突撃、綾子(木村)に「別れるつもりはない」と宣言するも、綾子は「それで?」と穏やかな開き直りを見せる。娘のために「許して水に流す」ことを決断した真弓だが、家族で行った旅行先に茄子田一家が現れ、温泉で妻と愛人の対決が繰り広げられる。

 何を言われても揺らがないから、と温泉に浸かりながらきっぱり言う真弓に対し、綾子は「秀明さんは何度も愛していると言ってくれたの」とひとり語りのように話す。薄幸の女王である木村多江の演技がそら恐ろしい。この女優は薄幸のみならず、粘着質で男に全体重をかける女をうるうるとした涙目とつぶやくような口調でなにげなく演じてしまうのだ。



 謝るわけでも突っ張るわけでもなく、彼女の頭の中では「愛し合っているのは秀明さんと私」という図式ができあがっている。それだけ、彼女の結婚生活には満たされたない部分が大きいのだろう。

 確かにこういう女性は実在する。女なら誰でも「ああ、いるいる」と納得できるだろう。綾子は女から見たら、「いちばん男が手を出してはいけないタイプ」である。姑を始め、真弓も、秀明の同僚の若い女性も異口同音にそう言う。

 女たちはみんなそれがわかっているが、男には「自分を頼ってくれる魅力的な女」に見えてしまう。自分が彼女を幸せにしなくてはいけないという使命感、それができるのは自分だけだという満足感にかられるのかもしれない。

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妻と愛人の闘いに「勝敗」がない理由

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