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木村多江が怖~い。不倫ドラマ『あな家』の粘着女、現実にもいる

妻と愛人の闘いに「勝敗」がない理由

 女性として対極にあるような真弓(中谷)と綾子(木村)の対決。気が強いと周りに思われている女ほど、実はポキッと折れやすい。一方で忍耐し慣れている綾子は、柳に雪折れなしのたとえ通り、自分の世界を淡々と貫く。  現実にもこういう事象は多い。妻は、なぜか夫の愛人に会いに行くことがよくあるのだ。きっかけは好奇心、興味、あるいは「本当に別れるか、相手の言質をとりたい」などさまざまだが、会ってへこむのは妻のほう。相手が若くても自分より年上でも、さして美人でなくても美人でも、妻たちは落ち込む。女として「負けた」と思うのだ。  夫という名の男を挟んで、女ふたりがいるとき、女同士は関わらないほうがいいと取材を通してつくづく思う。夫は自分がやらかしたことなのだから自分でケリをつけるべきだし、妻は結婚生活を継続するにしろしないにしろ、自分と夫の関係を見つめ直すべき。愛人は愛人で、自分と家庭持ちの男との関係を考えるべきなのだ。  というのが「正しいありよう」ではあるが、人の感情が複雑に絡み合う「恋愛」で、そんな正論は通用しない。だからこそ、妻と愛人は対決する。妻は自分の立場が法的に認められていることを全面に出し、愛人は男の愛情が自分にあることを主張する。拠って立つところが違うので、実はこの闘いは勝負にならないのだが、本人たちは気づいていない。  そして浮気した夫は、バレたら家庭に戻って禊ぎ(みそぎ)が過ぎるのを待つ。妻が許してさえくれれば、あとはなにごともなかったかのように振る舞えば家庭はまた円満になると思い込んでいる。いちばんおめでたい立場かもしれない。 <TEXT/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【亀山早苗】 フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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