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“普通の子”たちがなぜ凶悪事件を…危ない親子関係の傾向

 少年犯罪が起きるたび、その家庭環境が問題にされます。自分の子育てに不安を感じてしまう親もいるのでは…。

 いくつもの少年事件を取材してきたジャーナリストの草薙厚子さんの近著『となりの少年少女A』は、1997年に起こった神戸連続児童殺傷事件「少年A」の事件をはじめ、この20年で起きた世間を震撼させた凶悪な少年事件をまとめたものです。

 彼らの家庭環境に、なにか傾向はあるのでしょうか?(以下、草薙さんの寄稿)  

母娘

写真はイメージです(以下同)

普通の子が突然犯す、動機のわからない事件


 昨今の少年事件の問題は、事件がより「特殊性」を帯びていることと、動機の「不明瞭化」なのである。周囲には「普通の子ども」とみられ、補導歴も全くないような青少年たちがなぜ、突然大事件を起こすのか。果たして親は子どもの異変に本当に気づかなかったのだろうか。

 世間を震撼させた少年事件を例にとって、少年少女Aたちの家族環境はどんなものだったのか、事件から垣間見えた家族の特徴を3項目に大きく分類してみた。

1.子どものシグナルに、見て見ぬふりをする親


●佐世保で同級生を殺した高一少女の家庭

 凶悪少年事件ではこのケースが最も多くみられる。

 2014年、佐世保市内で一人暮らしをしていた高校一年生の女子生徒が、仲良しの同級生をハンマーで殴打し、首をタオルで締めて殺害した「佐世保高一同級生殺害事件」。実は彼女の言動や行動からは、事件を起こすまでに何回も危険シグナルが出ていたのだ。

 この女子生徒は小学5年生の時、下校途中に見かけた猫の死体に惹きつけられ、猫を殺すようになる。また6年生の12月には、同級生にいじめられた腹いせに、相手の給食に漂白剤と洗剤を混ぜ合わせた液体を入れたことが発覚し、学校で大きな問題になった。この事件は、親にとって初めて露見した危険シグナルだったのだ。

家族の絵 学校側からはカウンセリングが必要ではないかと提案されたのだが、父親が反対して、適切な対応は取られなかった。彼女の家族は地元でも名が知れた名家だったこともあり、近所や仕事先での風評を恐れたのだろう。誰でも自分の娘が「異常」であることは認めたくないし、地域社会の目もある。しかし、見過ごした結果、妄想はますますエスカレートしていった。

 2014年2月、睡眠中の父の頭を金属バットで数回殴打するという計画を実行、幸い全治二週間で済んだのだが、なんと父親は警察には届けず、関係者にも内々に収めるように求めたのである。そのため事件は表に出る事はなかった。そして5ヶ月後、殺人事件を起こしてしまう。この事件は親としての機能不全が最悪の結果を招いたケースといえるだろう。

●母親にタリウムを飲ませた16歳少女の家庭

 また2005年、劇薬の「タリウム」を食品に混入させ、母親が弱っていく様子を観察日記としてネットに上げていた「伊豆タリウム少女母親殺害未遂事件」。この事件で母親は植物状態になり、その数年後に亡くなっている。母親は娘の部屋に動物の標本や化学薬品があることには気づいていたが、娘が化学部に所属しているからだと信じきっていた。

 この母親は知らずにタリウムを摂取してしまった後、突然、体に異変があらわれ、日々体が弱っていき、病院にも通ったのだが原因がわからず、一向に回復しない。そのため、「もしかして自分の娘が毒物をいれたのではないか」という疑念を夫に漏らしたところ、「まさか、そんなことはないだろう」と否定されたのだ。父親は今でもこの時の判断をとても後悔しているという。この時点で気づいていれば、二度目のタリウム混入はなかったかもしれなかったのだ。

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親の虐待や干渉しすぎも…

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