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“普通の子”たちがなぜ凶悪事件を…危ない親子関係の傾向

全員が「発達障害」と診断…それだけが原因ではない

 これらの少年少女Aによる数々の事件は、全て動機が不可解な事件なのだ。実は加害者は全員、発達障害の診断を下されているのである。しかし、こういった特殊な事件の場合、障害が要因のすべてではない。発達障害という特性に、環境的な要因、誘発される刺激的な体験などが加わり、また、親が危険シグナルを察しても対応策を取らないまま時間が経過していき、妄想を抑制するものが周囲になかったという場合にのみ起こったケースなのだ。  信じられないかもしれないが、これらの事件は全て「貧困」「家庭崩壊」「怨恨」が原因で引き起こされたものではない。周囲とのコミュニケーションがうまく取れず、不適応を起こして、それがエスカレートしていったのである。昨今の少年事件は、生育環境には何の不自由もなく、恵まれていた中で起こった事件が多いのが特徴である。 となりの少年少女A「少年少女A」のような悲劇を繰り返さないため、専門家による精神医学的なアドバイスを受け、放任せず、また過干渉になりすぎず、なるべく早い時期から他人に共感する情緒をしっかりと教え込むことが重要なのだ。 ※『となりの少年少女A』には「神戸連続児童殺傷事件」「佐世保小六女児同級生殺害事件」「伊豆タリウム少女母親殺害未遂事件」「奈良エリート高校生放火殺人事件」「佐世保高一同級生殺害事件」「名古屋大学女子学生老女殺害事件」「フロリダ州パークランド高校銃乱射事件」とその他の少年事件も再検証をしている。 <文/草薙厚子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
草薙厚子
ジャーナリスト。元法務省東京少年鑑別所法務教官。著書に『ドキュメント 発達障害と少年犯罪 』『本当は怖い不妊治療』『となりの少年少女A』など多数
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