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RADWIMPS、軍歌と叩かれてすぐ出した謝罪文の幼稚な“愛国心”

 ロックバンド「RADWIMPS」の新曲「HINOMARU」(6月6日発売、作詞・作曲 Yojiro Noda)が物議を醸しています。タイトルの通り、激しい日本愛に溢れた歌詞なのです。

カタルシスト

「Hinomaru」収録のカタルシスト

 わかりやすいのは、<胸に手を当て見上げれば 高鳴る血潮、誇り高く この身体に流れゆくは 気高きこの御国の御霊>や、<たとえこの身が滅ぶとて 幾幾千代に さぁ咲き誇れ>などのフレーズ。これにネットでは“軍歌みたいだ”と冷ややかな声が上がる一方、“国歌にしてほしい”と支持するファンもいて、議論が分かれているというわけです。

すぐ謝罪してしまう程度の“信念”だったの?


 改めて言うまでもありませんが、どんなテーマで曲を書こうと基本的にはミュージシャンの自由です。軍国主義バンザイとか、大日本帝国復活を願うとか歌っても、それは一向にかまわないのです。

 もちろん、そのようなきわどい表現には反発がつきもの。32歳になる作者の野田洋次郎氏なら当然分かっていたはずです。しかし作品に対する強い信念があるのであれば、謝ったり言い訳したりする必要などどこにもないわけです。


 ところが、彼は6月11日、インスタグラムでこんなコメントを発表しました。「戦時中のことと結びつけて考えられる可能性があるかと腑に落ちる部分もありました。傷ついた人達、すみませんでした」と謝罪したのです。

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<野田洋次郎氏のコメント、6月11日Instagramより>

「戦争が嫌いです。暴力が嫌いです。
どんな国のどんな人種の人達とも、手を取り合いたいです。
終戦記念日やその他の歴史的な事柄を語る時、アジア各国でライブをする度、僕はなるべく自分のメッセージを伝えてきたつもりです。
時代に逆行するのではなく、前進しようと。二度と繰り返してはいけないと。
HINOMARUの歌詞に関して軍歌だという人がいました。そのような意図は書いていた時も書き終わった今も1ミリもありません。
ありません。誰かに対する攻撃的な思想もありません。
そのような具体的な歌詞も含まれてません。
この曲は日本の歌です。この曲は大震災があっても、大津波がきても、台風が襲ってきても、どんなことがあろうと立ち上がって進み続ける日本人の歌です。みんなが一つになれるような歌が作りたかったです。結果的にその曲で不快な想いをさせてしまった人がいたというのが何より悲しいです。
(中略)

色んな人の意見を聞いていてなるほど、そういう風に戦時中のことと結びつけて考えられる可能性があるかと腑に落ちる部分もありました。傷ついた人達、すみませんでした。
これが僕の気持ちです。一つの嘘もありません。(以下略)」
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 この件について今井絵理子参院議員(34)は「作家に釈明と謝罪までさせてしまう今の社会の風潮には賛成することができません」とブログに書いたそうですが、今回は野田氏が耐えきれなくなって勝手に謝っただけですからね。

災害に負けない日本人?謝罪文が晒した幼稚さ


謝るぐらいなら最初からそんな詞を書くなよ”というツッコミはさておき、野田氏の謝罪文を読んでいて、違和感を覚える箇所がありました。それは以下の部分。

【RADWIMPS Human Bloom Tour 2017】

【RADWIMPS Human Bloom Tour 2017】リリースより

この曲は日本の歌です。この曲は大震災があっても、大津波がきても、台風が襲ってきても、どんなことがあろうと立ち上がって進み続ける日本人の歌です。みんなが一つになれるような歌が作りたかったです。

「HINOMARU」という曲そのものより、筆者にはこの野田氏の心がけの方が気になりました。災害に負けない強さを描くのに、どうして日本と日本人だけをことさらに特別視するのでしょうか? なぜそれを日本全体の美徳として過剰に褒め称えるのでしょうか? 日本だけが自然災害にあっているわけではないし、世界中どの国の人だって「立ち上がって進み続けて」ますよね

 それなのに「御霊」とか「この身が滅ぶとて」とかの言葉で崇高さを演出したくなってしまう心理は、一体どこから来るのでしょう?

 もしこの釈明で世論を和らげられると考えたのなら、野田氏は大きな間違いを犯してしまったかもしれません。マッチョな軍国主義よりも、民族的な優越性をソフトにPRする姿勢こそが破局的な戦争を引き起こしてきた歴史があるからです。

「HINOMARU」を書いた野田氏なら「八紘一宇」(※)をご存知のはず。この言い訳が本心だとしたら、けっこう深刻なのではないでしょうか。

※編集部注:八紘一宇(はっこういちう)/「世界を一つの家にする」を意味するスローガン。第2次世界大戦中に日本の中国、東南アジアへの侵略を正当化するためのスローガンとして用いられた。(ブリタニカ国際大百科事典)

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「五月の蝿」の詞にもにじみでる幼さ

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