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過激すぎるベッドシーンに俳優が降板。仏の名匠に舞台裏を直撃|『2重螺旋の恋人』

フランス人の恋愛観と日本人の恋愛観

『2重螺旋の恋人』より

『2重螺旋の恋人』より

――じゃ、次回作は池松壮亮さん主演で映画を撮ってください(笑)。映画には3人の異なる母親が登場します。ジャクリーン・ビセットが1人2役でクロエの母親とポールの昔の恋人の母親を演じ、さらに、クロエと同じマンションに住むローズが登場します。彼女たちは、いわゆる“典型的なよき母”ではありません。母親の描かれ方も興味深いですね。 オゾン監督:母娘の関係にはどこか神経症的なところがあります。クロエの母親はクロエの側にいつもいなかった。だから、クロエは母親に愛されていないと信じ込み、辛い思いをしてきました。母親というのは一種の魔女のような存在にもなり得る。母親に愛されていない子供は自尊心が低くなり、苦しみます。母親との関係が子供の内面的葛藤に繋がることも、魔女的な母親像から伝えたかったんです。 ――ところで、家には心を癒してくれるポールという恋人がいるのに、外では刺激的なセックスをルイに求めるクロエですが、こういった恋愛観はフランス人女性には多いのですか? オゾン監督:セックスと愛情が分かれてしまうことに国籍や文化は関係ないと思いますね。心は満足しているけれど体は性的に満足していないというのは、普遍的な現象だと思います。多くのフランス人にとっては、性生活と愛情が同じものであるというのが理想です。逆に日本人のほうが、もっと現実的にセックスと愛情を分けているんじゃないですか?  ともかく、本作に教訓があるとしたら……精神分析は受けてもよいけど、絶対に自分の医者と寝たら駄目だよ!っていうことかな(笑)。 <TEXT/此花さくや> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 (C)2017 – MANDARIN PRODUCTION – FOZ – MARS FILMS – PLAYTIME – FRANCE 2 CINÉMA – SCOPE PICTURES / JEAN-CLAUDE MOIREAU
此花わか
ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):@sakuya_kono
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『2重螺旋(らせん)の恋人』は8月4日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開 配給:キノフィルムズ
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