それからは世間話や思い出話で盛り上がり、気付けば帰宅時間が迫っていました。お店を出て「じゃあまたね」と帰ろうとする私の手を咄嗟に掴むS。すると、思いもよらないことを言い出したのです。
S「あのさ……やっぱりお願いしたいことがあるんだけど、聞いてくれる?」
私「え? なに?(ここで何を言い出す気なの!?)」
S「すぐに使わないお金ってある?」
私「えっ? すぐに使わないお金?……貯金てこと?」
S「うん、まーそうとも言うかな? いくらある? 俺に投資してみない? 損はさせないよ」
私「……いや、大丈夫」
アルバムはしっかり返してもらったし、投資の話を持ちかけるのが本来の目的ではなかったと思いたいけれど、昔はこんなことを平気で言う人ではありませんでした。
人は切羽詰まったり、人生を変えるほどのショックな出来事があると、こんな風に変わってしまうものなのかなーと悲しくなった出来事でした。
<文/杉沢志乃>
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【杉沢志乃(すぎさわしの)】
37歳。東京生まれ。ナンバーワンホステス時代に独学で行政書士試験に合格。25歳で小説『キャバクラ嬢行政書士の事件簿』(ゴマブックス)を出版し、翌年『キャバギョ!』でDVD化。現在は女性向け映像メーカー「
ラ・コビルナ」の代表取締役社長を務める。
杉沢志乃
36歳。東京生まれ。ナンバーワンホステス時代に独学で行政書士試験に合格。25歳で小説『キャバクラ嬢行政書士の事件簿』(ゴマブックス)を出版し、翌年『キャバギョ!』でDVD化。現在は女性向け映像メーカー「
ラ・コビルナ」の代表取締役社長を務める。