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結婚は夫婦でつくる「幻想」なのかもしれない|映画『かごの中の瞳』

 結婚は必ずしも恋愛のハッピーエンドではないことは私たちは皆分かっています。だからこそ、なかなか結婚に踏み切れない女性も多いですよね。  そんな女性にぴったりな映画を見つけました。それは、9月28日(金)に公開される心理サスペンス『かごの中の瞳』。  人気俳優ライアン・レイノルズと結婚し2児をもうけた後も、米ドラマ「ゴシップガール」以来変わらぬ美貌を保つスーパー女優、ブレイク・ライヴリーが、「自分のキャリアのなかで最も強烈な映画だった」(※1)と語る話題作。視界を曇らせる特殊なコンタクトレンズをつけて盲目の女性を熱演し、夫婦にうごめく複雑な感情を見事に演じきりました。
『かごの中の瞳』より

『かごの中の瞳』より

映画『かごの中の瞳』あらすじ

 物語の舞台はタイ・バンコク。「東南アジアのハブ」と呼ばれる国際都市は、近代的な高層ビルやショッピングモールの足元に、東南アジアらしい屋台や厳かな祠が立ち並び、ヨーロッパとアジア、今と昔、富と貧が混在するエキゾチックな都市。ここに、視力が5%ほどしかない盲目のアメリカ人女ジーナ(ブレイク・ライヴリー)と夫のジェームズ(ジェイソン・クラーク)が仲睦まじく暮らしています。ジーナは子どもの頃に交通事故で視力を失っていました。
『かごの中の瞳』より

『かごの中の瞳』より

 ジーナよりひとまわりほど年上のジェームズは真面目な会社員で、彼女の世話をかいがいしく焼いてくれます。2人にとっての唯一の問題は、なかなか子どもができないこと。そんな彼らにある日、朗報が届きます。角膜の手術を受けるとジーナの視力が回復するというのです。でも、ジーナの視力が戻ったとき、彼女が目にした世界は思っていたものとは違う現実でした。そして、ある事件が起こります……。

共依存で成り立つ結婚の行く末は?

 視力が回復してジーナが衝撃を受けたのは、夫が白馬に乗った王子様でもなく、マンションは白亜のお城でもなかったこと。これまでの二人は、ジーナの想像の世界をジェームズの“目”が補足することで、理想の世界を作り上げてきたのです。
『かごの中の瞳』より

『かごの中の瞳』より

 夫に頼る必要がなくなったジーナがまず試みたのは、“自分らしさ”を探求することでした。ジェームズが買ってくれた服を捨ててオシャレを楽しみ、自分の好きな家を探し、いままでとは違うセックスも試したい……。  ところが、ジェームズはジーナの自己探求が気に入りません。髪を金髪に染め、セクシーなドレスをまとい自己主張する妻を拒絶します。
『かごの中の瞳』より

『かごの中の瞳』より

 美しく強く成長しようとする妻を、ジェームズなぜ受け入れるができないのでしょうか? なぜなら、ジーナがジェームズに日々依存していたのと同じく、ジェームズもまた、“世話をしてあげなければいけない妻”に共依存していたから。つまり、妻が自分を頼る関係性においてしか、ジェームズは自分の存在意義を見つけられなかったのです。

結婚の“共同幻想”はいつか消えてしまう?

 映画を観ていて感じたのは、結婚生活は現実そのものだけれど、そこに対する期待や想いは実は“幻想”なのかもしれない、ということ。人というのはお互いの幻想が共有できたときに結婚するけれど、現実の結婚生活を送っていくうちに、いつかその“共同幻想”(複数の人のあいだで共有される幻想)から覚めてしまう――。
『かごの中の瞳』より

『かごの中の瞳』より

 だからこそ、多くの既婚者が「こんなはずじゃなかった」と愚痴るのです。期待や見返りなしに相手を愛することができたら素晴らしいですが、実際にそんなことは可能なのでしょうか?
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男女間に“見返りのない愛”は存在する?
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『かごの中の瞳』は9月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開
配給:キノフィルムズ/木下グループ
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